中小企業が金融を活用し経営を強化する栃木県徹底ガイド
2026/07/27
中小企業の経営において、金融面で悩みや不安を感じていませんか?特に栃木県では、独自の金融支援策が多岐にわたり用意されているものの、どこから手を付けてよいか迷う場面が少なくありません。地域密着型の金融機関との連携や県独自の制度融資、各種補助金など、多彩な選択肢の中から自社に最適な支援策を見極めるには、具体的な知識と実践的なノウハウが必要です。本記事では、栃木県の中小企業が金融を最大限に活用し、経営基盤の強化や資金繰りの安定化へと繋げるためのポイントや活用事例を徹底解説します。制度の仕組みや注意点、実際の選定・交渉のコツまで詳しくまとめているため、経営力を一段と高める実践的なヒントを得ることができます。
目次
栃木県の中小企業向け融資とは
栃木県の中小企業向け融資とは
栃木県の中小企業向け融資とは、県内の中小企業や小規模事業者が、事業に必要な資金を金融機関などから借り入れる資金調達方法です。
借入金は、仕入れ、人件費、家賃、外注費などに充てる運転資金と、機械、車両、店舗、工場などに充てる設備資金に大きく分けられます。
栃木県内で利用を検討できる主な融資には、次のようなものがあります。
融資の種類主な特徴
金融機関のプロパー融資金融機関が信用保証協会の保証を付けず、直接審査して融資する
信用保証付き融資信用保証協会の保証を付けて、金融機関から融資を受ける
栃木県制度融資栃木県が金融機関・信用保証協会と連携して設けている融資制度
日本政策金融公庫の融資政府系金融機関が創業、設備投資、経営改善などを支援する
市町の制度融資各市町が地域の事業者向けに設ける融資制度
民間の事業者向けローン銀行、信用金庫、ノンバンクなどが提供する事業資金向け商品
このうち「栃木県の中小企業向け融資」を探している経営者が、最初に確認したいのが栃木県制度融資です。
栃木県は、金融機関と栃木県信用保証協会の協力を得て、中小企業者が円滑に事業資金を調達できるよう制度融資を実施しています。
出典:栃木県「中小企業向け制度融資」
ただし、栃木県制度融資は県から直接資金を受け取る制度ではありません。実際に資金を貸し出すのは、制度を取り扱う銀行、信用金庫、信用組合などの金融機関です。
また、公的な制度だからといって、申請すれば必ず融資を受けられるわけではありません。金融機関や信用保証協会による審査があり、会社の財務状況、資金使途、返済能力、事業の継続性などが確認されます。
融資を検討する際は、「いくら借りられるか」だけでなく、次の項目を整理する必要があります。
・何に資金を使うのか
・いつまでに必要なのか
・必要額はいくらか
・自己資金をいくら用意できるか
・毎月いくら返済できるか
・返済原資となる売上や利益は何か
・既存の借入金はいくらあるか
・融資後も運転資金を確保できるか
・売上が計画を下回った場合でも返済できるか
融資は資金不足を一時的に解消できますが、借入後は元金と利息を返済しなければなりません。信用保証協会の保証を利用する場合は、信用保証料も発生します。
そのため、融資制度は金利の低さや借入限度額だけで選ぶのではなく、資金使途、返済期間、据置期間、保証条件、総返済額を含めて比較することが重要です。
栃木県の中小企業向け制度融資の仕組み
栃木県の中小企業向け制度融資は、主に「栃木県」「金融機関」「栃木県信用保証協会」が連携して実施する仕組みです。
それぞれの役割は次のとおりです。
関係者 主な役割
栃木県 融資制度、利用条件、融資限度額、期間などを定める
金融機関 相談受付、融資審査、契約、資金の貸付、返済管理を行う
栃木県信用保証協会 企業の信用を補完し、金融機関に対して債務を保証する
中小企業・小規模事業者 必要書類を提出し、借入後は契約に基づいて返済する
商工会・商工会議所等 制度案内、事業計画の作成支援、申請相談などを行う場合がある
市町 制度によって認定、確認、利子・保証料支援などを行う場合がある
制度融資の一般的な流れは次のとおりです。
①必要な資金額と資金使途を整理する
②取扱金融機関や支援機関へ相談する
③利用する融資制度を選ぶ
④決算書、資金繰り表、見積書等を準備する
⑤金融機関へ融資を申し込む
⑥必要に応じて信用保証協会へ保証を申し込む
⑦金融機関と信用保証協会による審査を受ける
⑧審査通過後に融資契約を締結する
⑨指定口座へ資金が入金される
⑩返済計画に従って元金、利息等を支払う
実際の申込先、必要書類、認定手続きは制度によって異なります。設備資金では見積書や設備の資料、借換資金では既存借入金の返済予定表などを求められる場合があります。
公的制度であっても、次のような理由で希望どおりの融資を受けられない可能性があります。
・資金使途が制度の対象に合わない
・必要資金の根拠が不明確である
・売上や利益に対して借入希望額が過大である
・既存借入金の返済負担が大きい
・資金繰り計画と返済計画が整合していない
・設備投資後の売上見込みに根拠がない
・会社の実態や事業内容を十分に説明できない
・必要な許認可を取得していない
・申込書と決算書等の内容に食い違いがある
「制度の要件を満たすこと」と「融資審査に通ること」は同じではありません。
対象業種、所在地、事業歴などの制度要件を満たしていても、返済可能性が低いと判断されれば、融資額の減額や追加資料の提出を求められる場合があります。
信用保証協会は直接融資を行う機関ではない
信用保証協会は直接融資を行う機関ではない
栃木県信用保証協会は、中小企業が金融機関から融資を受ける際に、公的な保証人の役割を担う機関です。
信用保証協会が企業へ直接お金を貸すわけではありません。企業が金融機関へ返済できなくなった場合に、契約に基づいて信用保証協会が金融機関へ代位弁済を行います。
ただし、代位弁済が行われても、企業の返済義務がなくなるわけではありません。その後は、信用保証協会に対して返済する必要があります。
信用保証を利用する主なメリットと注意点は次のとおりです。
項目 主な内容
メリット 金融機関から融資を受けられる可能性を高められる
メリット 創業直後や担保が少ない企業でも検討できる制度がある
メリット 長期返済や据置期間を設定できる制度がある
注意点 金利とは別に信用保証料が発生する
注意点 信用保証協会と金融機関の審査を受ける
注意点 保証が付いても企業の返済義務は残る
注意点 制度ごとに資金使途、限度額、対象者が異なる
出典:栃木県信用保証協会「制度のご案内」
融資にかかる費用を総額で確認する
融資の費用は金利だけではありません。
信用保証付き融資を利用する場合は、主に次の費用を確認します。
・支払利息
・信用保証料
・印紙代
・振込手数料
・担保設定に関する費用
・登記費用
・専門家へ依頼する場合の費用
・繰上返済や条件変更に関する費用
融資条件を比較するときは、次のように総負担額を確認しましょう。
融資の総負担額=支払利息+信用保証料+契約・担保等の諸費用
金利が低くても、信用保証料や担保設定費用を含めると、別の融資より負担が大きくなる場合があります。
また、返済期間を長くすれば毎月の返済額は抑えやすくなりますが、支払利息の総額は増える可能性があります。毎月の資金繰りと総返済額の両方を確認することが重要です。
栃木県制度融資は資金目的に応じて分かれている
栃木県の制度融資には、通常の運転資金・設備資金だけでなく、創業、新事業、事業承継、経営安定、産業政策などに対応する資金があります。
2026年度の主な区分は次のとおりです。
資金区分 主な目的
一般資金 通常の運転資金・設備資金を調達する
小規模企業資金 小規模事業者が事業資金を調達する
創業支援資金 県内で創業する人や創業後間もない事業者を支援する
新事業開拓支援資金 新製品、新技術、新分野への取り組みを支援する
事業承継支援資金 株式や事業用資産の取得など、事業承継を支援する
産業政策推進資金 重点産業、SDGs、脱炭素、人材確保などを支援する
経営安定資金 売上減少、災害、物価高騰などへの対応を支援する
産業立地促進資金 工場や事業所の立地に必要な資金を支援する
出典:栃木県「県制度融資 資金一覧表」
どの制度が適切かは、会社の規模や業種だけでなく、資金を必要とする理由によって変わります。
例えば、同じ機械設備の導入でも、既存事業の生産能力を高める場合と、新規事業へ参入する場合では、検討すべき制度が異なる可能性があります。
申込前に、「会社が何を買うのか」だけでなく、「なぜ必要なのか」「導入後に売上や利益がどう変わるのか」まで整理しましょう。
栃木県の中小企業向け融資と補助金の違い
栃木県の中小企業向け融資と補助金の違い
栃木県の中小企業向け融資と補助金の違い
栃木県の中小企業が利用できる資金調達方法には、融資だけでなく補助金・助成金もあります。
融資と補助金は、どちらも事業に必要な資金を確保する方法ですが、返済義務、入金時期、対象経費、審査方法が異なります。
比較項目 融資 補助金・助成金
返済 元金と利息を返済する 要件を満たせば原則として返済不要
入金時期 契約後に融資が実行される 事業実施・支払い・実績報告後に交付される場合が多い
審査 返済能力、財務状況、資金使途などを確認する 事業計画、政策目的、審査基準への適合性などを確認する
資金使途 運転資金・設備資金など制度の範囲内で利用する 公募要領で定められた対象経費に限られる
募集時期 通年で相談できる制度が多い 公募期間が定められている場合が多い
採択・承認 審査に通れば融資を受けられる 申請しても不採択になる場合がある
自己負担 借入額を返済する必要がある 補助率に応じた自己負担が必要になる
事後手続き 返済と定期的な業況報告など 実績報告、証拠書類、成果報告などが必要になる
主な用途仕入れ、人件費、設備、資金繰りなど設備投資、開発、販路開拓など制度ごとに限定される
補助金は返済不要だから有利だと考えられがちですが、採択前や交付決定前に支出した経費が対象外になる場合があります。
また、多くの補助金は後払いです。先に事業者が設備代金や開発費を支払い、実績報告や検査を経た後に補助金が交付されます。
例えば、1,000万円の設備を導入し、補助率が2分の1であっても、最初から500万円だけを用意すればよいとは限りません。一時的には設備代金の全額に加え、消費税や対象外経費も準備する必要があります。
補助事業を実施する場合の必要資金は、次のように整理できます。
必要資金=自己負担額+補助金入金までの立替資金+対象外経費+消費税+運転資金+予備費
自己資金だけで立替えが難しい場合は、金融機関へつなぎ融資や設備資金について相談します。
融資と補助金はどちらか一方を選ぶとは限らない
融資と補助金は、事業計画に応じて組み合わせられる場合があります。
例えば、設備投資を行う場合、次のような資金構成が考えられます。
資金の種類 主な用途
自己資金 頭金、対象外経費、予備費
設備資金の融資 設備代金、設置費用など
補助金 対象経費の一部を事後的に補填する
運転資金の融資 材料、人件費、外注費、売上入金までの資金
つなぎ融資 補助金が入金されるまでの一時的な立替資金
ただし、補助金が採択されることを前提に、自己資金で負担できない契約を締結するのは危険です。
不採択、交付額の減額、入金の遅延などが起きても、設備の購入代金や借入金の返済義務は残ります。
補助金を利用する場合も、次の3つの資金計画を作成しましょう。
申請額どおりに補助金を受け取れた場合
補助金が減額された場合
補助金を受け取れなかった場合
資金調達方法は事業の目的から選ぶ
融資と補助金のどちらを利用するかは、資金不足だけを見て決めるものではありません。
事業の状況 検討する方法
仕入れや人件費を早急に確保したい 運転資金の融資
生産設備や店舗を導入したい 設備資金の融資
創業時の初期費用と運転資金が必要 創業向け融資
新製品や技術開発へ取り組みたい 融資と研究開発系補助金
補助金の入金まで資金が不足する つなぎ融資
売上減少で返済負担が重い 経営安定資金や借換えの相談
返済原資を確保できない 借入前に事業計画と経営改善を見直す
返済の見込みがない状態で融資を増やしても、資金不足を先送りするだけです。
反対に、将来の売上や利益につながる設備投資であっても、補助金の結果を待ち続けて商機を逃す場合があります。
資金調達では、「融資か補助金か」から考えるのではなく、最初に事業目的、必要時期、必要額、投資効果、返済可能性を整理します。そのうえで、自社に合う制度を選ぶことが重要です。
次章では、栃木県の中小企業向け融資を資金使途別に整理し、一般資金、小規模企業資金、創業支援資金、経営安定資金などの特徴と選び方を解説します。
栃木県の中小企業向け融資の種類と特徴
栃木県の中小企業向け融資の種類と特徴
栃木県の中小企業向け制度融資は、資金の使い道や会社の状況に応じて複数の種類に分かれています。
通常の仕入れや人件費に使う資金と、設備投資に使う資金では、適切な融資制度や返済期間が異なります。また、創業、新事業、事業承継、売上減少、既存借入金の借換えなど、特定の目的に対応した制度もあります。
2026年度の栃木県制度融資は、主に次のように整理できます。
資金区分 主な制度 適している状況
通常融資系 一般資金、小規模企業資金 通常の運転資金・設備資金が必要
創業・新事業系 創業支援資金、新事業開拓支援資金、事業承継支援資金 創業、新分野進出、事業承継に取り組む
産業力強化系 産業政策推進資金、産業立地促進資金 県の重点施策、脱炭素、人材確保、工場立地等に取り組む
資金繰り支援系 経営安定資金、経営サポート資金、経営改善資金 売上減少、災害、物価高騰、借換え、経営再生等に対応する
出典:栃木県「県制度融資 資金一覧表」
融資制度を選ぶ際は、金利が低い制度から探すのではなく、最初に次の3点を明確にします。
①何に資金を使うのか
②いつまで資金が必要なのか
③何年かけて返済するのか
資金使途と返済期間が合っていないと、融資を受けられても、その後の資金繰りが悪化する可能性があります。
例えば、長期間使用する機械を短期融資で購入すると、設備が利益を生み出す前に返済負担が集中します。反対に、一時的な仕入れ資金を長期融資で調達すると、資金を使い終わった後も返済が続きます。
「借りられる制度」ではなく、「資金の使用期間と返済期間が合う制度」を選ぶことが重要です。
栃木県の中小企業向け融資を資金使途別に比較
栃木県の中小企業向け融資を資金使途別に比較
栃木県の中小企業向け融資は、資金使途によって次のように選びます。
資金を必要とする状況 主に検討する制度
仕入れ、人件費、外注費等が必要 一般資金(運転)、小規模企業資金
機械、車両、店舗、工場等を取得する 一般資金(設備)、小規模企業資金
創業前または創業後間もない 創業支援資金
新製品・新技術・新分野へ進出する 新事業開拓支援資金
株式や事業用資産を取得する 事業承継支援資金
SDGsや脱炭素、人材確保等に取り組む 産業政策推進資金
工場用地や工場等を取得する 産業立地促進資金
売上減少や物価高騰に対応する 経営安定資金
既存借入金をまとめる・借り換える 経営サポート資金、小規模企業資金等
再生計画に基づいて経営改善する 経営改善資金
同じ設備投資や資金不足でも、原因と目的によって使える制度は異なります。
ここからは、主な制度の特徴と選ぶ際の注意点を解説します。
通常の運転資金には一般資金を検討する
一般資金(運転)は、県内に事業所があり、同一事業の実績を1年以上有する中小企業者や中小企業団体が、一般的な運転資金を借り入れるための制度です。
運転資金には、主に次のような費用が含まれます。
・商品・原材料の仕入れ
・従業員の給与
・外注費
・家賃・地代
・水道光熱費
・広告宣伝費
・営業活動に必要な経費
・売掛金を回収するまでの立替資金
・季節的な在庫確保
・一時的な受注増加に対応する資金
2026年度の一般資金(運転)には、一般枠と短期枠があります。
比較項目 一般枠 短期枠
主な用途 継続的・中期的な運転資金 短期間で回収できる運転資金
中小企業者の融資限度額 3,000万円 2,000万円
融資期間 7年以内 1年以内
据置期間 1年以内 原則として設定なし
主な利用例 売上増加に伴う仕入れ、人件費、継続的な資金需要 季節仕入れ、受注に対応する一時的な資金需要
出典:栃木県「一般資金(運転)の御案内」
一般枠と短期枠は、返済期間の長短だけで選ぶものではありません。
例えば、年末商戦に向けた仕入れ資金で、数か月後に売上代金を回収できる場合は、短期枠が適する可能性があります。一方、売上の回復まで時間がかかる新規事業の立上げ費用を短期枠で借りると、返済資金が不足するおそれがあります。
運転資金は、次の計算を基に必要額を確認します。
必要運転資金=売上債権+棚卸資産-仕入債務
ただし、この計算だけでは、賞与、納税、設備修繕、季節変動などを反映できません。少なくとも今後12か月程度の資金繰り表を作成し、資金が最も不足する時点を確認しましょう。
機械・建物・土地には一般資金(設備)を検討する
一般資金(設備)は、事業に必要な機械、建物、土地などを取得するための制度です。
2026年度の融資限度額は1億円、融資期間は10年以内で、1年以内の据置期間を設定できる場合があります。
対象となり得る設備の例は次のとおりです。
設備区分 主な対象例
機械 生産設備、加工設備、検査・測定設備、搬送設備
情報機器 コンピューター、業務システム、ソフトウェア等
車両 運送用車両、特殊車両、介護・福祉用車両等
建物 店舗、工場、倉庫、事務所の新築・取得・増改築
内装 テナント出店に必要な改装
土地 事業拡大や事業承継に必要な事業用地
投機を目的とした土地購入や、事業との関係を説明できない資産の購入は対象になりません。
出典:栃木県「一般資金(設備)の御案内」
設備資金を申し込む際は、購入価格だけでなく、設備を稼働させるまでに必要な費用を確認します。
・設備本体
・運搬・設置工事
・電源・空調等の付帯工事
・金型、治具、工具
・ソフトウェア
・操作研修
・保守契約
・建物の改装
・許認可・検査
・導入後の材料・人件費
・売上入金までの運転資金
設備を購入できても、稼働後の仕入れや人件費が不足すれば、事業を継続できません。設備資金と運転資金を分けて見積もり、必要に応じて同時に相談しましょう。
設備投資の返済可能性は、売上高ではなく、設備から生まれる利益とキャッシュフローで確認します。
◆年間投資効果=増加する限界利益+削減できる費用-追加固定費-追加運営費
導入後の売上が計画の50%にとどまった場合や、稼働開始が遅れた場合でも返済できるか試算することが重要です。
小規模事業者は小規模企業資金を確認する
小規模事業者は小規模企業資金を確認する
小規模企業資金は、県内で同一事業を1年以上営む小規模企業者を対象とする制度です。
一般貸付と小口零細貸付があります。
比較項目 一般貸付 小口零細貸付
資金使途 運転・設備・一定の借換資金 運転・設備・一定の借換資金
融資限度額 3,000万円 2,000万円
融資期間 1年超10年以内 1年超10年以内
据置期間 1年以内 6か月以内
信用保証 信用保証協会の保証が必要 小口零細企業保証が必要
主な特徴 小規模企業者向けの一般的な事業資金 保証付き融資残高を含む限度管理がある
出典:栃木県「小規模企業資金の御案内」
小規模企業者に該当するかどうかは、資本金だけではなく、業種ごとの従業員数などで判断されます。
また、小口零細貸付では、新規融資額と信用保証協会の保証付き融資残高の合計に上限があります。融資限度額が2,000万円であっても、既存の保証付き融資残高によって新たに借りられる金額が変わります。
申込前に、次の内容を金融機関へ確認しましょう。
・自社が小規模企業者に該当するか
・現在の保証付き融資残高
・既存借入金との合計額
・借換対象となる借入金
・融資後の毎月返済額
・保証料を含む資金調達コスト
創業前・創業後5年未満なら創業支援資金を確認する
創業支援資金は、栃木県内で新たに創業する人や、創業後一定期間内の事業者が利用を検討できる制度です。
対象者は複数の区分に分かれており、勤務経験、資格、創業塾の修了、創業関連の補助金、自己資金、創業後の経過期間などによって利用条件が異なります。
資金使途は、創業に必要な運転資金と設備資金です。
・店舗・事務所の取得や改装
・機械・備品の購入
・開業時の商品・材料仕入れ
・広告宣伝費
・家賃
・人件費
・外注費
・開業後の運転資金
出典:栃木県「創業支援資金の御案内」
創業融資では過去の決算実績がないため、創業計画の具体性が重視されます。
少なくとも、次の内容を説明できるようにしましょう。
・なぜこの事業を始めるのか
・これまでの経験をどう活かすのか
・誰を顧客とするのか
・顧客はどの程度存在するのか
・商品・サービスをいくらで販売するのか
・毎月何件販売すれば黒字になるのか
・競合と何が違うのか
・必要資金をどのように計算したのか
・自己資金をどのように準備したのか
・売上が計画を下回った場合にどう対応するのか
創業計画で売上だけを大きく見積もっても、返済可能性の説明にはなりません。客数、客単価、営業日数、成約率などに分解し、売上計画の根拠を示すことが重要です。
新事業や経営革新には新事業開拓支援資金を検討する
新事業や経営革新には新事業開拓支援資金を検討する
新事業開拓支援資金は、経営革新計画の承認やフロンティア企業の認証を受けた場合、新事業展開や事業転換へ取り組む場合などに利用を検討する制度です。
新事業には、次のような取り組みが考えられます。
・新商品・新サービスの開発
・新しい製造方法の導入
・新たな顧客層への展開
・異なる業種への進出
・新店舗・新拠点の開設
・デジタル技術を活用したサービス
・既存技術の新用途への転換
・新たな販売方法の導入
ただし、単に新しい設備を購入するだけでは、新事業の実現可能性を説明できません。
市場・顧客、競合、自社の強み、販売方法、必要人材、設備、売上・利益計画を一体として整理する必要があります。
出典:栃木県「新事業開拓支援資金の御案内」
事業承継には事業承継支援資金を検討する
事業承継支援資金は、親族内承継、従業員承継、M&Aなどに必要な資金を調達する際に利用を検討できます。
主な資金使途として、次のようなものがあります。
・後継者による株式取得
・事業用資産の取得
・M&Aによる株式・事業の取得
・承継後に必要となる設備資金
・承継後の運転資金
・経営者保証の解除に関連する資金
出典:栃木県「事業承継支援資金の御案内」
事業承継では、株式や事業の取得代金だけを準備すればよいとは限りません。
承継後の仕入れ、人件費、設備修繕、システム統合、従業員の処遇調整などにも資金が必要になる場合があります。
事業承継の必要資金=取得資金+専門家費用+税金・手続費用+承継後の運転資金+設備・改善資金
旧経営者の個人保証が自動的に解除されるわけではないため、既存借入金と経営者保証の取扱いも金融機関へ確認します。
県の重点施策に取り組む場合は産業政策推進資金を確認する
県の重点施策に取り組む場合は産業政策推進資金を確認する
産業政策推進資金は、栃木県が重点的に進める産業施策へ取り組む企業を支援する制度です。
2026年度には、主に次の融資が設けられています。
融資区分 主な対象
重点政策推進融資 県の重点産業・重点政策に関連する取り組み
SDGs推進融資 SDGsの達成に向けた取り組み
カーボンニュートラル推進融資 省エネルギー、再生可能エネルギー、脱炭素等
人材確保等促進融資 人材確保、人材育成、生産性向上等
2026年度の重点政策推進融資と人材確保等促進融資は、融資限度額が1億円、融資利率は年1.8%~2.3%以内と案内されています。人材確保等促進融資では、対象となる補助金の交付決定等を受けた場合、利率がさらに引き下げられる仕組みもあります。
出典:栃木県「令和8(2026)年度 県制度融資の改正点」
名称にSDGsや脱炭素が含まれているだけで利用できるわけではありません。
取り組みの内容、必要な設備、期待する効果、数値目標などを説明できる状態にしましょう。
売上減少や物価高騰には経営安定資金を確認する
経営安定資金は、売上減少、災害、物価高騰、取引環境の変化などにより、経営の安定に必要な資金を調達する制度です。
2026年度には、次のような区分があります。
融資区分 主な対象
基盤強化融資 売上減少や経営環境の悪化、為替変動等の影響を受けた企業
事業活動継続融資 火災、地震、風水害等への対応や未然防止対策
物価高騰等緊急対策資金 物価高騰等により売上高等が減少した企業
米国関税緊急対策資金 米国関税措置による取引先の減産等の影響を受ける企業
出典:栃木県「経営安定資金の御案内」
経営安定資金は、赤字であれば自動的に利用できる制度ではありません。各区分で定められた売上減少、災害、取引環境等の要件を確認する必要があります。
また、借入れによって当面の支払いを確保できても、赤字の原因が残ったままでは再び資金不足になります。
次の内容を同時に見直しましょう。
・商品・顧客別の売上と利益
・値上げの実施状況
・原材料・外注費
・人件費と生産性
・過大な在庫
・売掛金の回収
・不採算事業
・固定費
・借入金の返済額
・今後12か月の資金繰り
既存借入金の返済が重い場合は借換資金を確認する
借換えとは、新たな融資を受けて既存の借入金を返済し、返済条件を組み直す方法です。
栃木県制度融資では、経営サポート資金や小規模企業資金などで、一定の借入金を借り換えられる場合があります。
経営サポート資金には、次の区分があります。
区分 主な目的
経営力強化借換 融資金融機関等の支援を受け、事業計画に基づいて一定の借入金を借り換える
サポート借換 小規模企業資金、創業支援資金、経営安定資金等を借り換える
金融円滑化借換 一定の県制度融資を借り換える
出典:栃木県「経営サポート資金の御案内」
借換えによって返済期間を延ばすと、毎月の返済額を減らせる可能性があります。
ただし、次の点に注意が必要です。
・返済期間が延びると支払利息が増える
・新たな信用保証料が発生する場合がある
・すべての借入金を借り換えられるとは限らない
・据置期間終了後に返済負担が増える場合がある
・追加融資を含めると借入残高が増える
・経営改善を行わなければ再び返済が難しくなる
借換えの効果は、毎月返済額だけで判断してはいけません。
確認項目 借換え前 借換え後
借入残高 現在の残高 借換額・追加融資額
毎月返済額 現在の元金・利息 借換え後の元金・利息
返済終了時期 現在の完済予定 借換え後の完済予定
支払利息総額 今後の利息 借換え後の利息
信用保証料 既に支払った保証料 新たに必要となる保証料
資金繰り 返済後の現預金 借換え後の現預金
借換え後に確保できる資金を、赤字の補填だけに使うのではなく、利益改善、在庫削減、価格改定、販路開拓などへつなげる必要があります。
栃木県の中小企業向け信用保証付き融資の特徴
栃木県の中小企業向け信用保証付き融資の特徴
栃木県制度融資では、信用保証協会の保証が必須となる資金と、金融機関の判断により保証を付ける資金があります。
信用保証付き融資は、中小企業が金融機関から融資を受ける際に、栃木県信用保証協会が債務を保証する仕組みです。
金融機関にとっては貸倒れのリスクが一定程度軽減されるため、創業直後、担保が少ない企業、規模の小さい企業でも融資を検討しやすくなる場合があります。
ただし、信用保証が付けば必ず融資を受けられるわけではありません。
金融機関は融資の可否を審査し、信用保証協会は保証の可否を審査します。両者の承認が必要となる場合があります。
信用保証の対象となる資金を確認する
信用保証の対象となる資金を確認する
信用保証協会の保証対象は、事業経営に必要な運転資金と設備資金です。
生活費、住宅資金、投機資金、第三者への転貸資金など、事業に直接関係しない資金は対象になりません。
出典:栃木県信用保証協会「保証内容」
事業用と個人用の支出が混在している場合は、資金使途を分けて説明する必要があります。
例えば、車両を購入する場合でも、業務でどの程度使用するのか、事業に不可欠な車両なのかを確認される可能性があります。
融資実行後も、申込時に説明した目的以外へ資金を流用してはいけません。
信用保証料は金利とは別に発生する
信用保証料は金利とは別に発生する
信用保証協会の保証を利用する場合、金融機関へ支払う利息とは別に、信用保証協会へ信用保証料を支払います。
信用保証料率は、利用する保証制度、会社の財務状況、保証期間、返済方法、責任共有制度の対象かどうかなどによって異なります。
栃木県信用保証協会の基準保証料率は、責任共有制度の対象となる場合、年0.45%から1.90%までの9区分です。責任共有制度の対象外では、年0.50%から2.20%までの区分が案内されています。
出典:栃木県信用保証協会「信用保証料について」
信用保証料は、単純に「借入額×保証料率」だけで決まるとは限りません。保証期間、返済回数、残高の減少などを考慮して計算されます。
概算額は、次の考え方で計算されます。
◆信用保証料の概算=借入額×保証料率×保証期間×返済方法に応じた係数
実際の保証料は、金融機関や信用保証協会へ確認してください。
また、保証期間が一定期間を超える場合、保証料を分割して支払えることがあります。融資実行時の資金負担を抑えたい場合は、申込時に支払方法を確認しましょう。
責任共有制度の対象か確認する
責任共有制度の対象か確認する
信用保証制度には、信用保証協会と金融機関が融資リスクを分担する責任共有制度があります。
責任共有制度の対象か対象外かによって、融資利率や信用保証料率が異なる場合があります。
県の制度案内で、次のように複数の利率が記載されているのはこのためです。
・保証を付けない場合
・責任共有制度の対象となる保証を付ける場合
・責任共有制度の対象外となる保証を付ける場合
自社だけで適用区分を判断するのは難しいため、金融機関へ次の内容を確認しましょう。
・信用保証が必要か
・利用する保証制度は何か
・責任共有制度の対象か対象外か
・適用される融資利率
・適用される保証料率
・信用保証料の概算額
・保証料の補助や割引があるか
表面上の融資利率が低くても、保証料を含めた総負担額が低いとは限りません。
経営者保証が必要か確認する
経営者保証が必要か確認する
信用保証付き融資であっても、法人代表者の連帯保証を求められる場合があります。
一方、一定の要件を満たす場合には、経営者保証を不要とする取扱いや保証制度を利用できる可能性があります。
栃木県制度融資にも、一般資金(経営者保証非提供)が設けられています。
ただし、「経営者保証を付けたくない」という希望だけで利用できるわけではありません。法人と経営者個人の資産・経理が明確に分離されているか、財務基盤が安定しているか、金融機関へ適切に情報を開示しているかなどが確認されます。
経営者保証を付けない融資を希望する場合は、次の項目を見直しましょう。
・会社と経営者個人の預金・支出を分けているか
・経営者への貸付金や仮払金が多額になっていないか
・会社資金を私的に使用していないか
・適正な役員報酬を設定しているか
・月次試算表を作成しているか
・資金繰りを金融機関へ説明できるか
・決算書の内容に不明な勘定科目がないか
・税金や社会保険料を適切に支払っているか
・中長期的に返済できる利益を確保しているか
経営者保証を外すことだけを目的にせず、会社と個人の分離、財務管理、情報開示を改善することが重要です。
据置期間は返済免除期間ではない
制度融資には、元金の返済を一定期間据え置けるものがあります。
据置期間を設定すると、設備の稼働や売上の発生まで元金返済を抑えられるため、創業や設備投資では資金繰りを安定させやすくなります。
ただし、据置期間中も通常は利息や保証料の負担があります。また、据置期間が終了すると、残りの返済期間で元金を返済するため、毎月返済額が大きくなる場合があります。
例えば、10年返済で1年の据置期間を設定した場合、元金は実質的に残り9年間で返済します。
申込時に、次の2つを比較しましょう。
・据置期間中の支払額
・据置期間終了後の毎月返済額
売上が立ち上がる時期と元金返済の開始時期を合わせることが重要です。
繰上返済時の保証料返戻も確認する
借入金を予定より早く完済した場合、支払済みの信用保証料の一部が返戻されることがあります。
ただし、保証料の支払方法、完済時期、保証条件などによって取扱いが異なります。また、金融機関側で繰上返済手数料が発生する可能性もあります。
繰上返済を検討する場合は、次の内容を確認してください。
・繰上返済手数料
・返済する元金
・減少する支払利息
・返戻される信用保証料
・返済後に残る現預金
・今後必要となる運転資金
借入金を早く減らすことだけを優先し、運転資金が不足して再び借り入れる状態は避ける必要があります。
融資条件は金利・返済期間・保証料をまとめて比較する
融資制度を比較するときは、適用金利だけで判断しません。
比較項目 確認する内容
融資額 必要額を満たすか、借り過ぎになっていないか
資金使途 実際に支払う費用が対象になるか
融資期間 資金の使用期間と合っているか
据置期間 売上が発生するまでの期間を確保できるか
金利 固定・変動、適用利率、今後の変更可能性
信用保証料 保証料率、支払時期、補助・割引
経営者保証 代表者保証が必要か
担保 不動産等の担保が必要か
毎月返済額 資金繰りの範囲内で支払えるか
総返済額元金、利息、保証料等の総額
借換条件既存借入金を対象にできるか
手続期間必要な時期までに融資を受けられるか
最も金利が低い制度が、自社にとって最適とは限りません。
融資期間が短ければ毎月返済額が増え、保証料が低くても経営者保証や担保が必要になる場合があります。反対に、返済期間を長くすれば毎月返済額は減りますが、利息総額が増える可能性があります。
資金使途、必要時期、返済原資、毎月返済額、総負担額をまとめて比較しましょう。
なお、本章で記載した融資限度額、期間、利率等は2026年度の公表内容を基にしています。制度内容は年度途中でも変更される可能性があるため、申込時には栃木県、取扱金融機関、栃木県信用保証協会の最新情報を確認してください。
次章では、栃木県の中小企業が制度融資を活用する理由と、資金調達によって解決できる経営課題について解説します。
栃木県の中小企業向け融資を活用する理由
栃木県の中小企業向け融資を活用する理由
栃木県の中小企業が融資を活用する主な理由は、単に不足したお金を補うためではありません。
売上代金を回収するまでの資金を確保する、設備投資によって生産性を高める、新規事業へ参入する、災害や売上減少に備えるなど、事業を継続・成長させるために融資を活用します。
利益が出ている会社でも、売上の計上と入金、仕入れや人件費の支払い時期がずれると、手元資金が不足する場合があります。反対に、融資を受けて預金残高が増えても、借入金は利益ではありません。元金、利息、信用保証料等を負担する必要があります。
融資を活用する目的は、次のように整理できます。
融資を活用する目的 主な内容
資金繰りの安定 売上入金までの仕入れ、人件費、外注費等を確保する
設備投資 機械、車両、店舗、工場、システム等を導入する
成長投資 新商品、新規事業、販路開拓、採用等へ取り組む
生産性向上 省力化、自動化、IT化によって業務を改善する
売上減少への対応 一時的な売上減少や物価高騰を乗り越える
借入条件の改善 借換えによって毎月返済額や返済期間を見直す
不測の事態への備え 災害、事故、主要顧客の取引終了等へ対応する
事業承継 株式・事業用資産の取得や承継後の運転資金を確保する
重要なのは、「資金が足りないから借りる」という説明で終わらせないことです。
なぜ資金が不足するのか、融資によって何を実行するのか、どの売上や利益から返済するのかを明確にする必要があります。
栃木県の中小企業向け融資で解決できる経営課題
栃木県の中小企業向け融資は、会社が抱える経営課題によって活用方法が異なります。
経営課題 融資の主な活用方法 確認すべき指標
売上入金まで資金が不足する 仕入れ・人件費等の運転資金 売掛金回収期間、在庫期間
受注増加へ対応できない 材料、外注、人員、設備の確保 受注量、粗利益、入金時期
設備が老朽化している 機械・車両・店舗等の更新 修繕費、稼働率、投資回収期間
人手不足で生産できない 省力化設備、システム導入 削減時間、人件費、生産量
新規事業へ参入したい 開発、試作、設備、販路開拓 商談数、売上、損益分岐点
原材料価格が上昇している 一時的な運転資金の確保 原価率、価格転嫁率、粗利益
毎月返済額が重い 借換え、返済期間の見直し 債務償還年数、年間返済額
後継者へ事業を譲りたい 株式・資産取得、承継後の資金 株価、取得額、承継後の収支
災害や事故が発生した 復旧費用、休業中の運転資金 復旧期間、保険金、固定費
融資を受けること自体は、経営課題の解決ではありません。
融資によって確保した資金を使い、売上、利益、生産性、資金繰りなどを改善できて初めて、経営上の効果が生まれます。
売上と入金のずれを埋める
商品やサービスを販売しても、代金をすぐに回収できるとは限りません。
例えば、月末締め翌々月末払いの取引では、商品を納品してから入金までに約2か月かかる場合があります。その間にも、仕入先への支払い、従業員の給与、家賃、外注費などが発生します。
特に、売上が急増している会社では注意が必要です。
売上増加に伴って仕入れ、外注、人員、在庫が先に増えるため、利益が出ていても現預金が不足することがあります。
一般的な必要運転資金は、次の式で確認できます。
必要運転資金=売上債権+棚卸資産-仕入債務
例えば、売掛金が2,000万円、在庫が1,000万円、買掛金が1,200万円の場合、必要運転資金は1,800万円です。
◆2,000万円+1,000万円-1,200万円=1,800万円
売上増加によって売掛金と在庫が増えれば、必要運転資金も増加します。
このような資金需要に対して、一般資金(運転)や小規模企業資金を利用することで、売上代金を回収するまでの支払いを維持しやすくなります。
ただし、回収が遅れている売掛金や販売できない在庫が増えている場合は、借入れだけで解決してはいけません。
・請求漏れがないか
・回収条件が長すぎないか
・入金遅延が発生していないか
・不良在庫が増えていないか
・発注量が適正か
・仕入先との支払条件を見直せないか
融資と同時に、売掛金・在庫・買掛金の管理を改善する必要があります。
受注増加による資金不足を防ぐ
大口受注を獲得しても、材料や外注費を先に支払えなければ、受注を断らなければならない場合があります。
受注から入金までに必要となる主な資金は次のとおりです。
・原材料・商品の仕入れ
・外注費
・臨時人員の人件費
・運送費
・保管費
・金型・治具
・検査費
・納品までの経費
・売上入金までの固定費
受注金額だけでなく、受注によって最も資金が不足する時点を確認します。
例えば、1,000万円の受注があっても、材料費300万円と外注費200万円を先払いし、売上代金が納品から2か月後に入金される場合、少なくとも500万円に固定費を加えた資金が必要です。
大口受注への対応では、次の資料を準備すると金融機関へ説明しやすくなります。
・注文書・契約書
・見積書
・原価計算表
・生産・納品スケジュール
・仕入れ・外注の支払予定
・売上代金の入金予定
・受注後の資金繰り表
・受注によって得られる利益
売上が増えるという理由だけで借入額を決めず、受注による追加支出と入金時期から必要額を計算しましょう。
設備投資の負担を複数年に分ける
機械、車両、店舗、工場、システムなどは、購入した年度だけでなく、複数年にわたって事業に使用します。
長期間使用する設備の費用を手元資金だけで支払うと、預金残高が大きく減り、その後の仕入れや給与支払いが難しくなる可能性があります。
設備資金の融資を活用すれば、設備が利益を生み出す期間に合わせて返済負担を分散できます。
例えば、2,000万円の機械を自己資金だけで購入すると、購入直後に2,000万円の現金が減少します。一方、一部を自己資金、残りを設備資金で調達すれば、運転資金を残しながら設備を導入できます。
ただし、「現金を残せるから」という理由だけで借入れを増やすのは適切ではありません。
設備投資前に、次の内容を確認します。
・設備を導入する目的
・具体的な受注見込み
・生産量の増加
・作業時間の削減
・不良率の改善
・人件費・外注費の削減
・維持費・電気代・保守費
・操作できる人材
・設備の耐用年数
・投資回収期間
・売上が計画を下回った場合の返済可能性
設備投資によって増える利益や削減できる費用が、年間返済額を上回るか確認することが重要です。
設備投資後の年間資金効果=増加する限界利益+削減費用-追加固定費-追加運営費
設備投資後の年間資金効果が300万円で、年間返済額が400万円になる場合、ほかの事業から不足額を補わなければなりません。
計画受注量だけでなく、受注が計画の50%にとどまった場合も試算しましょう。
省力化・生産性向上を進める
人手不足が続く中、採用だけで必要な人員を確保できない企業も増えています。
融資を活用して、省力化設備やシステムを導入することで、少ない人数でも事業を継続できる可能性があります。
主な投資例は次のとおりです。
・自動加工・自動搬送設備
・ロボット
・自動精算機
・券売機
・セルフオーダーシステム
・予約・顧客管理システム
・受発注・在庫管理システム
・会計・給与・勤怠システム
・配車・運行管理システム
・検査・測定の自動化
・清掃・洗浄設備
・クラウドサービス
省力化投資では、人員削減だけを効果にしてはいけません。
効果 確認する指標
作業時間の削減 1日・1か月当たりの削減時間
生産量の増加 1時間当たり、1人当たりの生産量
残業の削減 残業時間、残業代
品質の安定 不良率、返品、手直し時間
売上機会の増加 営業時間、受注件数、顧客数
属人化の解消 対応できる従業員数、教育時間
情報処理の改善 入力回数、確認時間、ミス件数
省力化によって生まれた時間を、営業、顧客対応、新商品開発、教育などへ振り向けられるかも確認しましょう。
成長機会を逃さないために資金を確保する
新規事業や販路開拓は、売上が発生する前に費用が必要です。
・市場調査
・商品・サービス開発
・試作
・設備導入
・広告宣伝
・展示会出展
・Webサイト制作
・人材採用
・教育・研修
・店舗・事業所の開設
・認証・許認可
・販売開始後の運転資金
自己資金が貯まるまで投資を延期すると、競合企業に先行されたり、顧客の需要が変化したりする可能性があります。
一方、成長市場という理由だけで借入れを行うと、事業化できずに借入金だけが残る危険があります。
新規事業への融資では、段階ごとに投資上限と継続条件を決めます。
段階 主な取り組み 次へ進む判断基準
市場調査 顧客・競合・価格の確認 費用を負担する顧客課題がある
顧客検証 ヒアリング、提案 有望顧客や具体的な引き合いがある
試作 製品・サービスの試作 技術、品質、価格の条件を満たす
初回販売 小規模な販売・受注 顧客から継続需要を確認できる
本格投資 設備、人材、販路の拡大 売上・利益と投資回収を見込める
最初から大規模な借入れを行うのではなく、市場調査、試作、初回受注などに分けて投資する方法も検討しましょう。
一時的な業績悪化を乗り越える
原材料価格の上昇、災害、主要顧客の生産調整などにより、一時的に売上や利益が減少する場合があります。
経営安定資金などを活用すれば、支払いに必要な資金を確保し、事業を立て直す時間を得られる可能性があります。
ただし、一時的な資金不足と構造的な赤字は分けて考える必要があります。
資金不足の種類 主な状態 必要な対応
一時的な資金不足 売上回復や入金の見込みがある 融資と資金繰り管理
季節的な資金不足 毎年同じ時期に資金が不足する 年間資金計画と短期資金
成長による資金不足 売上増加に伴って仕入れ等が増える 増加運転資金
構造的な赤字 売上が回復しても利益が出ない 価格、原価、固定費等の改善
債務過多 利益に対して借入金が過大 借換え、返済条件、再生計画
事業継続が困難 改善後も返済原資を確保できない 事業再生、撤退、承継等の検討
構造的な赤字を借入れだけで補填すると、借入残高と返済負担が増加します。
融資によって確保した時間の中で、値上げ、不採算事業の見直し、固定費削減、在庫削減、販路開拓などを実行する必要があります。
借換えによって返済負担を調整する
複数の借入金があり、毎月の元金返済が資金繰りを圧迫している場合は、借換えによって返済条件を見直せる可能性があります。
例えば、残り3年間で返済する借入金を、より長い返済期間で借り換えれば、毎月返済額を減らせる場合があります。
ただし、借換えは借入金そのものを減らす方法ではありません。
毎月返済額が減っても、返済期間が長くなれば、支払利息や信用保証料を含む総負担額が増える可能性があります。
借換えを行う場合は、返済負担の軽減によって生まれる資金を何に使うのか決めましょう。
・収益改善
・値上げや商品構成の見直し
・在庫削減
・販路開拓
・生産性向上
・不採算事業の整理
・月次管理の強化
・緊急予備資金の確保
借換え後も赤字が続き、再び返済が難しくなる計画では、問題の先送りになります。
手元資金を一定水準に保つ
会社は、黒字であっても現預金が尽きれば支払いを継続できません。
そのため、設備投資や繰上返済によって現預金を極端に減らすのではなく、一定の手元資金を確保することが重要です。
必要な手元資金は、業種、入金条件、仕入条件、固定費、季節変動などによって異なります。
確認する主な項目は次のとおりです。
・毎月の固定費
・給与・賞与の支払額
・税金・社会保険料
・借入金の返済額
・売上の変動幅
・売掛金の回収期間
・在庫の保有期間
・主要顧客への依存度
・災害・事故時の休業期間
・設備故障時の修繕費
例えば、主要顧客への依存度が高い企業や、売上の季節変動が大きい企業は、通常より多くの手元資金が必要になる場合があります。
手元資金を確保するための借入れは、余った資金を自由に使うためではありません。必要額、使用条件、返済計画を明確にし、預金残高と資金繰りを継続的に管理しましょう。
栃木県の中小企業向け融資を利用すべきタイミング
栃木県の中小企業向け融資を利用すべきタイミング
栃木県の中小企業向け融資を利用すべきタイミング
融資は、預金残高がほとんどなくなってから相談するのではなく、資金が必要になる時期を予測して早めに準備することが重要です。
資金繰りが悪化した後では、次の問題が起こりやすくなります。
・必要書類を準備する時間がない
・複数の融資制度を比較できない
・金融機関へ状況を十分に説明できない
・希望額を借りられない
・条件の選択肢が少なくなる
・税金や社会保険料の支払いが遅れる
・仕入先への支払いが遅れる
・従業員の給与支払いに影響する
・経営改善へ使える時間がなくなる
融資審査や信用保証の手続きには一定の期間が必要です。申込時期、必要書類、認定手続きなども制度によって異なります。
資金が必要になる直前ではなく、資金繰り表で不足時期を確認した段階から金融機関へ相談しましょう。
創業計画を作成した段階で相談する
創業融資は、店舗の賃貸借契約や設備の発注をすべて終えてから相談するのではなく、事業計画と必要資金の概算がまとまった段階で相談します。
先に高額な契約を締結すると、融資を受けられなかった場合でも支払い義務が残る可能性があります。
創業前に、次の内容を整理します。
・創業予定日
・事業内容
・顧客と販売方法
・店舗・事務所
・必要な設備
・開業までの費用
・開業後の運転資金
・自己資金
・売上・利益計画
・家計を含む生活資金
・融資希望額
・返済計画
特に個人で創業する場合は、事業資金と生活資金を分けて確認する必要があります。
開業直後に売上が計画どおりに発生しない場合でも、仕入れ、家賃、借入返済、生活費を支払える資金を確保しましょう。
設備を発注する前に相談する
設備資金は、購入契約や支払いを行う前に金融機関へ相談します。
すでに支払った設備代金を後から設備資金として融資できるとは限りません。また、補助金を併用する場合は、交付決定前の契約・発注が補助対象外になることがあります。
設備投資では、次の順番で進めます。
①投資目的を決める
②顧客需要と受注見込みを確認する
③設備の仕様と見積もりを取得する
④投資効果と返済計画を試算する
⑤補助金等の利用可能性を確認する
⑥金融機関へ融資を相談する
⑦融資・補助金の条件を確認する
⑧契約・発注する
⑨設備を導入する
⑩導入後の効果を検証する
納期の長い設備では、融資実行日、支払日、設備納入日、稼働開始日を合わせる必要があります。
売上増加の兆候が見えた段階で相談する
売上増加の兆候が見えた段階で相談する
売上が増加すると、仕入れ、在庫、外注、人件費などが先に増える場合があります。
次のような兆候がある場合は、増加運転資金を確認しましょう。
・大口注文を受けた
・新規取引先との契約が決まった
・生産量を増やす必要がある
・在庫を積み増す必要がある
・外注先を増やす必要がある
・従業員を採用する
・売上の入金条件が長くなった
・仕入先の支払条件が短くなった
・新店舗・新拠点を開設する
・補助金の入金まで立替資金が必要になる
売上が増えた後ではなく、注文書、契約書、見積依頼などによって今後の資金需要を予測できた段階で相談します。
現預金の減少が続いた段階で相談する
「あと何か月支払いを続けられるか」を確認することで、相談時期を判断できます。
手元資金月商倍率は、手元資金が月商の何か月分あるかを示す簡易的な指標です。
手元資金月商倍率=現預金÷月平均売上高
ただし、売上高だけでは毎月の支出を正確に把握できません。
より実務的には、現預金を毎月の固定的な支出で割り、資金を維持できる期間を確認します。
資金余力月数=現預金÷毎月の固定的支出額
固定的支出には、給与、家賃、社会保険料、借入返済、リース料、最低限必要な外注費などを含めます。
次のような状態が続いている場合は、原因を分析して早めに相談しましょう。
・預金残高が毎月減少している
・売上は増えているのに現金が増えない
・売掛金や在庫が増えている
・納税資金を運転資金へ使用している
・借入返済後の預金残高が大きく減る
・月末の支払いを翌月の入金で補っている
・支払日を遅らせている
・役員借入金で資金を補っている
・短期借入れを繰り返している
・クレジットカードや高金利の借入れへ依存している
資金不足の原因が一時的なものか、赤字や過大な返済によるものかを分けて判断する必要があります。
赤字になる前から金融機関と情報を共有する
赤字になる前から金融機関と情報を共有する
業績が悪化してから初めて金融機関へ相談すると、原因や今後の改善策を短期間で説明しなければなりません。
月次試算表や資金繰り表を共有し、売上減少や原価上昇の兆候が見えた段階で相談すれば、利用できる制度や対応策を検討しやすくなります。
金融機関へ共有する主な内容は次のとおりです。
・現在の売上・利益
・前年や計画との差
・業績が変化した原因
・主要顧客の動向
・原材料・人件費の増加
・現預金と借入金
・今後の支払予定
・必要となる資金額
・経営改善策
・改善策の実施期限
・融資後の返済原資
悪い情報を隠すと、後から事実が判明した際に信頼関係を損なう可能性があります。
業績悪化の事実だけでなく、原因、対応策、今後の数値計画をセットで説明しましょう。
返済可能額から借入額を決める
融資限度額まで借りられるとしても、その金額を全額借りる必要はありません。
借入額は、必要資金と返済能力の両方から決めます。
返済原資の簡易的な目安は、税引後利益と減価償却費です。
◆簡易返済原資=税引後利益+減価償却費
ただし、実際には設備更新、運転資金の増加、納税、配当等にも資金が必要です。
より慎重に判断する場合は、次のように確認します。
◆年間返済可能額=税引後利益+減価償却費-必要な設備投資-増加運転資金-その他の資金支出
例えば、税引後利益が500万円、減価償却費が300万円でも、毎年必要な設備更新が200万円、増加運転資金が100万円ある場合、年間返済可能額の目安は500万円です。
◆500万円+300万円-200万円-100万円=500万円
この会社が年間800万円を返済する計画を立てると、計算上は毎年300万円の資金が不足します。
返済可能額は、過去の利益だけでなく、融資後の事業計画と資金繰りから確認しましょう。
売上・利益は複数のシナリオで試算する
売上・利益は複数のシナリオで試算する
融資の返済計画は、計画どおりに売上が伸びる前提だけで作ってはいけません。
少なくとも次の3つのシナリオを作成します。
シナリオ 主な前提 確認する内容
計画どおり 売上・利益が計画どおり 通常の返済が可能か
下振れ 売上が計画の70%程度 固定費と返済を維持できるか
厳しいケース 売上が計画の50%程度 追加資金なしで何か月継続できるか
売上が下振れした場合は、次の対応策も事前に決めます。
・設備投資の延期
・採用時期の見直し
・在庫・仕入れの削減
・広告費の調整
・固定費の削減
・役員報酬の見直し
・追加販路の開拓
・金融機関への早期相談
計画どおりに進まないことを前提に、資金繰りを維持できる借入額と返済条件を選びましょう。
融資を避けるべき状況も確認する
融資を利用できる可能性があっても、借入れを増やすべきではない場合があります。
・資金使途が決まっていない
・必要額を計算していない
・返済原資を説明できない
・投資先や取引先の実態を確認していない
・投資効果を試算していない
・慢性的な赤字を借入れだけで補填している
・経営改善策を実行する予定がない
・個人の生活費や投機へ使用する
・補助金の採択だけを前提にしている
・高額な設備を受注見込みだけで購入する
・借換え後の経営改善計画がない
・既存借入金を把握していない
・税金や社会保険料の支払い状況を確認していない
返済の見込みがない状態で借入れを増やすと、事業再生や事業承継など、将来の選択肢を狭める可能性があります。
このような場合は、融資申込みの前に、経営改善、返済条件の変更、事業再生、事業承継、不採算事業の整理などを専門家や金融機関へ相談する必要があります。
融資を検討する前の確認事項を整理する
融資を申し込む前に、次の項目を確認しましょう。
確認項目 確認する内容
資金使途 何に、いつ、いくら使うか
必要額 見積書、支払予定、資金繰りから計算したか
自己資金 どの程度負担できるか
返済原資 どの売上・利益から返済するか
返済期間 資金の使用期間と合っているか
毎月返済額 資金繰りの範囲内か
据置期間 売上発生までの期間と合っているか
既存借入金 残高、返済額、完済時期を把握しているか
投資効果 売上、利益、削減費用を試算したか
下振れリスク 売上が計画未達でも返済できるか
保証・担保 経営者保証や担保が必要か
総負担額 利息、保証料、諸費用を確認したか
代替案 自己資金、補助金、リース等と比較したか
相談時期 資金が不足する前に相談できるか
融資は、会社の資金繰りを安定させ、設備投資や成長投資を実現する有効な手段です。
一方、借入れによって得られる効果よりも返済負担が大きければ、経営を悪化させる原因になります。
「いくら借りられるか」ではなく、「何を実現するために、いくら必要で、どのように返済するか」を基準に判断しましょう。
次章では、栃木県の中小企業向け融資を選ぶ手順、申込みの流れ、必要書類、金融機関の審査で確認される項目について解説します。
栃木県の中小企業向け融資の選び方と申請方法
栃木県の中小企業向け融資の選び方と申請方法
栃木県の中小企業向け融資の選び方と申請方法
栃木県の中小企業向け融資を利用する際は、金利や融資限度額だけで制度を選んではいけません。
資金使途、必要額、必要時期、返済期間、信用保証料、経営者保証、担保、既存借入金との関係などを比較し、自社の状況に合う制度を選ぶ必要があります。
また、制度上の利用要件を満たしていても、金融機関や信用保証協会の審査に通るとは限りません。
審査では、決算書の数字だけでなく、次の内容が確認されます。
・なぜ資金が必要なのか
・必要額をどのように計算したのか
・融資後に何を実行するのか
・売上や利益がどのように変わるのか
・どの資金から返済するのか
・売上が計画を下回っても返済できるか
・経営者が自社の財務状況を理解しているか
・金融機関へ正確な情報を開示しているか
融資申込みは、単に申込書と決算書を提出する手続きではありません。
自社の経営状況、資金需要、改善策、返済可能性を整理し、金融機関へ説明する取り組みです。
栃木県制度融資を利用できる基本的な要件は、次のとおりです。
基本要件 主な内容
企業規模 中小企業者、小規模企業者または中小企業団体である
県税 県税の滞納がない
許認可 必要な業種では許認可等を取得している
個別要件 利用する資金ごとの要件を満たしている
対象業種 信用保証制度等の対象となる事業を営んでいる
農林漁業、金融・保険業などは、原則として県制度融資の対象外とされていますが、一部例外があります。業種分類だけで自己判断せず、取扱金融機関や栃木県へ確認してください。
出典:栃木県「ご利用いただける方」
栃木県の中小企業向け融資を選ぶ手順
栃木県の中小企業向け融資を選ぶ際は、制度名の比較から始めるのではなく、自社の資金需要を整理します。
一般的な選定手順は次のとおりです。
①資金を必要とする理由を確認する
②資金使途を運転資金と設備資金に分ける
③必要額と必要時期を計算する
④返済原資と返済可能額を確認する
⑤利用できる融資制度を絞る
⑥金利、期間、保証料等を比較する
⑦取扱金融機関へ相談する
⑧必要な認定・推薦・確認を取得する
⑨申込書類と事業計画を準備する
⑩融資を申し込む
各段階で確認する内容は次のとおりです。
段階 確認する内容 主な成果物
資金需要の整理 なぜ資金が必要なのか 資金使途の説明
必要額の計算 何に、いつ、いくら支払うか 資金明細、見積書
返済計画 どの売上・利益から返済するか 返済計画、資金繰り表
制度選定 どの制度の要件を満たすか 候補制度の比較表
金融機関相談 希望額、期間、保証等 相談資料
申込準備 必要書類に不足がないか 申込書類一式
審査対応 数字と計画を説明できるか 面談回答、追加資料
融資実行後 計画どおり資金を使ったか 支払記録、月次実績
資金を必要とする理由を一文で説明する
最初に、資金が必要な理由を明確にします。
「運転資金が足りない」「設備を買いたい」だけでは、金融機関は必要性を判断できません。
例えば、次のように具体化します。
抽象的な説明 具体的な説明
運転資金が必要 大口受注に伴い、材料費500万円を売上入金の3か月前に支払う必要がある
資金繰りが苦しい 原材料価格の上昇と売掛金回収の長期化により、6月末に800万円不足する
設備を購入したい 老朽設備の更新により、停止時間を月20時間削減し、生産能力を15%高める
新規事業を始めたい 既存顧客から引き合いのある製品を生産するため、加工設備と試作費が必要
借換えをしたい 年間返済額1,200万円を800万円程度へ抑え、経営改善資金を確保したい
融資の目的は、できるだけ数値と期限を含めて説明しましょう。
運転資金と設備資金を分ける
一つの計画に、設備購入と仕入れ、人件費などが含まれる場合は、それぞれを分けて計算します。
資金区分 主な支出
運転資金 仕入れ、人件費、外注費、家賃、広告費等
設備資金 機械、車両、建物、土地、システム等
付帯費用 運搬、設置、改装、教育、許認可等
予備資金 稼働遅延、価格上昇、売上未達等への備え
設備資金は、見積書や契約予定額から比較的計算しやすい一方、運転資金は必要額が曖昧になりやすい傾向があります。
運転資金は、資金繰り表を作成し、最も現預金が少なくなる時点から計算しましょう。
例えば、今後6か月の最低預金残高がマイナス800万円となり、安全資金として200万円を確保したい場合、必要資金は1,000万円が目安になります。
◆必要運転資金=最大資金不足額+確保したい予備資金
ただし、売掛金の回収、不良在庫の処分、支払条件の見直しなどにより、借入額を減らせる可能性もあります。
融資を申し込む前に、自社で改善できる資金繰りも確認しましょう。
資金が必要となる時期から逆算する
融資は、相談した当日に実行されるものではありません。
金融機関の審査に加え、信用保証協会の審査、行政機関等の認定・推薦、追加資料の提出が必要になる場合があります。
設備投資では、次の日程を整理します。
・見積書の有効期限
・契約予定日
・発注予定日
・手付金の支払日
・納品日
・残金の支払日
・設備の稼働開始日
・売上が発生する時期
・補助金の交付決定日
・補助金の入金予定日
運転資金では、次の日程を確認します。
・給与支払日
・仕入先・外注先への支払日
・税金・社会保険料の納付日
・借入金の返済日
・売掛金の入金日
・賞与・退職金等の支払日
・季節的な仕入れ時期
・補助金等の入金日
資金が必要になる時期から逆算し、余裕を持って相談してください。
返済期間は資金の効果が続く期間に合わせる
返済期間は資金の効果が続く期間に合わせる
返済期間は、毎月返済額を小さくするためだけに長く設定するものではありません。
資金を使用して得られる効果の期間と、返済期間を合わせることが基本です。
資金使途 返済期間を考える基準
季節仕入れ 商品販売と売上回収までの期間
増加運転資金 増加した売掛金・在庫が回収される期間
創業資金 事業が安定し、利益を確保するまでの期間
機械設備 設備の使用可能期間と投資回収期間
車両 使用予定期間
店舗改装 賃貸借契約期間と改装効果の継続期間
システム 利用契約、更新時期、陳腐化リスク
借換え 経営改善に必要な期間と返済能力
短期間しか使用しない資金を長期で借りると、資金を使い終わった後も返済が残ります。
反対に、長期間使用する設備を短期間で返済すると、毎月返済額が大きくなり、資金繰りを圧迫します。
融資限度額ではなく必要額から借入額を決める
制度上の融資限度額は、実際に借りられる金額や、自社に必要な金額を意味するものではありません。
借入額は、次の式を目安に計算します。
◆融資希望額=事業に必要な総額-自己資金-確実に利用できるほかの資金
ほかの資金には、入金時期と受給条件が確定している補助金、資産売却代金などが考えられます。
ただし、採択されていない補助金、確定していない売上、未契約の出資などを、確実な資金として計算してはいけません。
借入額を必要以上に増やすと、次の負担が生じます。
・毎月返済額の増加
・支払利息の増加
・信用保証料の増加
・今後の追加融資余力の低下
・経営者保証・担保の負担
・資金管理の緩み
一方、借入額を少なくしすぎると、設備導入後の運転資金が不足し、追加融資が必要になる場合があります。
設備、付帯費用、運転資金、予備費を含めて必要額を計算しましょう。
制度融資とほかの資金調達方法を比較する
制度融資とほかの資金調達方法を比較する
栃木県制度融資だけでなく、日本政策金融公庫、金融機関のプロパー融資、市町の制度融資、リースなども比較します。
資金調達方法 主な特徴 主な確認事項
栃木県制度融資 県が定める条件で金融機関が融資する 対象要件、保証料、認定等
市町の制度融資 市町内の事業者向け制度 所在地、利子・保証料補助
日本政策金融公庫 政府系金融機関による融資 融資制度、金利、必要書類
プロパー融資 信用保証協会を利用しない融資 金利、担保、審査、取引実績
信用保証付き融資 信用保証協会の保証を付ける 保証料、保証限度額
リース 設備を購入せず一定期間利用する 総支払額、中途解約、所有権
割賦購入 分割払いで設備を購入する 金利相当額、所有権、契約条件
自己資金 返済が不要 手元資金を減らしすぎないか
補助金 要件を満たせば原則返済不要 後払い、対象経費、採択リスク
金融機関によって、県制度融資とプロパー融資を組み合わせる提案を受ける場合もあります。
金利だけでなく、総負担額、返済期間、保証、担保、今後の追加資金への対応などを比較しましょう。
相談する金融機関を選ぶ
相談する金融機関を選ぶ
栃木県制度融資は、県が指定する取扱金融機関の営業店へ申し込みます。
栃木県の公式ページでは、銀行、信用金庫、信用組合、商工組合中央金庫が取扱金融機関として案内されています。
出典:栃木県「融資申込先・取扱金融機関」
相談先を選ぶ際は、次の点を確認します。
・現在のメイン金融機関か
・自社の決算や事業を理解しているか
・希望する制度を取り扱っているか
・地域や業種の融資実績があるか
・信用保証協会との調整経験があるか
・融資後も経営相談へ対応できるか
・将来の追加融資や借換えへ対応できるか
・担当者と継続的に情報共有できるか
既に取引がある金融機関は、自社の入出金、借入返済、決算内容などを把握しているため、最初の相談先として適しています。
一方、既存金融機関だけで希望する制度や資金調達へ対応できない場合は、ほかの取扱金融機関や日本政策金融公庫へ相談する方法もあります。
複数の金融機関へ相談する場合は、借入希望額、資金使途、既存借入金、ほかの申込状況を正確に説明してください。金融機関ごとに異なる説明をすると、信頼を損なう可能性があります。
事前の認定・推薦が必要か確認する
事前の認定・推薦が必要か確認する
県制度融資では、資金によって融資申込みの前に、国、県、市町、商工会、商工会議所等の認定や推薦が必要になる場合があります。
例えば、次のような手続きが考えられます。
・セーフティネット保証等に関する市町の認定
・経営革新計画の承認
・支援機関による確認・推薦
・災害等に関する証明
・創業支援を受けたことの証明
・補助金の交付決定を示す書類
・事業承継計画等の確認
・SDGsや脱炭素等の取り組みに関する確認
認定を取得しても、金融機関や信用保証協会の審査を省略できるわけではありません。
また、認定書には有効期間や申込期限が設けられる場合があります。必要な認定、申請先、必要書類、発行までの期間を早めに確認しましょう。
融資限度額ではなく必要額から借入額を決める
制度上の融資限度額は、実際に借りられる金額や、自社に必要な金額を意味するものではありません。
借入額は、次の式を目安に計算します。
◆融資希望額=事業に必要な総額-自己資金-確実に利用できるほかの資金
ほかの資金には、入金時期と受給条件が確定している補助金、資産売却代金などが考えられます。
ただし、採択されていない補助金、確定していない売上、未契約の出資などを、確実な資金として計算してはいけません。
借入額を必要以上に増やすと、次の負担が生じます。
・毎月返済額の増加
・支払利息の増加
・信用保証料の増加
・今後の追加融資余力の低下
・経営者保証・担保の負担
・資金管理の緩み
一方、借入額を少なくしすぎると、設備導入後の運転資金が不足し、追加融資が必要になる場合があります。
設備、付帯費用、運転資金、予備費を含めて必要額を計算しましょう。
制度融資とほかの資金調達方法を比較する
制度融資とほかの資金調達方法を比較する
栃木県制度融資だけでなく、日本政策金融公庫、金融機関のプロパー融資、市町の制度融資、リースなども比較します。
資金調達方法 主な特徴 主な確認事項
栃木県制度融資 県が定める条件で金融機関が融資する 対象要件、保証料、認定等
市町の制度融資 市町内の事業者向け制度 所在地、利子・保証料補助
日本政策金融公庫 政府系金融機関による融資 融資制度、金利、必要書類
プロパー融資 信用保証協会を利用しない融資 金利、担保、審査、取引実績
信用保証付き融資 信用保証協会の保証を付ける 保証料、保証限度額
リース 設備を購入せず一定期間利用する 総支払額、中途解約、所有権
割賦購入 分割払いで設備を購入する 金利相当額、所有権、契約条件
自己資金 返済が不要 手元資金を減らしすぎないか
補助金 要件を満たせば原則返済不要 後払い、対象経費、採択リスク
金融機関によって、県制度融資とプロパー融資を組み合わせる提案を受ける場合もあります。
金利だけでなく、総負担額、返済期間、保証、担保、今後の追加資金への対応などを比較しましょう。
相談する金融機関を選ぶ
相談する金融機関を選ぶ
栃木県制度融資は、県が指定する取扱金融機関の営業店へ申し込みます。
栃木県の公式ページでは、銀行、信用金庫、信用組合、商工組合中央金庫が取扱金融機関として案内されています。
出典:栃木県「融資申込先・取扱金融機関」
相談先を選ぶ際は、次の点を確認します。
・現在のメイン金融機関か
・自社の決算や事業を理解しているか
・希望する制度を取り扱っているか
・地域や業種の融資実績があるか
・信用保証協会との調整経験があるか
・融資後も経営相談へ対応できるか
・将来の追加融資や借換えへ対応できるか
・担当者と継続的に情報共有できるか
既に取引がある金融機関は、自社の入出金、借入返済、決算内容などを把握しているため、最初の相談先として適しています。
一方、既存金融機関だけで希望する制度や資金調達へ対応できない場合は、ほかの取扱金融機関や日本政策金融公庫へ相談する方法もあります。
複数の金融機関へ相談する場合は、借入希望額、資金使途、既存借入金、ほかの申込状況を正確に説明してください。金融機関ごとに異なる説明をすると、信頼を損なう可能性があります。
事前の認定・推薦が必要か確認する
事前の認定・推薦が必要か確認する
県制度融資では、資金によって融資申込みの前に、国、県、市町、商工会、商工会議所等の認定や推薦が必要になる場合があります。
例えば、次のような手続きが考えられます。
・セーフティネット保証等に関する市町の認定
・経営革新計画の承認
・支援機関による確認・推薦
・災害等に関する証明
・創業支援を受けたことの証明
・補助金の交付決定を示す書類
・事業承継計画等の確認
・SDGsや脱炭素等の取り組みに関する確認
認定を取得しても、金融機関や信用保証協会の審査を省略できるわけではありません。
また、認定書には有効期間や申込期限が設けられる場合があります。必要な認定、申請先、必要書類、発行までの期間を早めに確認しましょう。
栃木県の中小企業向け融資の申込手順・必要書類・審査対策
栃木県の中小企業向け融資の申込手順・必要書類・審査対策
栃木県の中小企業向け融資の申込手順・必要書類・審査対策
栃木県が案内する制度融資の一般的な流れは、次のとおりです。
①取扱金融機関へ融資を申し込む
②金融機関が融資審査を行う
③信用保証付き融資が適当と判断された場合、金融機関が信用保証協会へ保証を依頼する
④信用保証協会が保証審査を行う
⑤保証が適当と判断された場合、信用保証書が金融機関へ交付される
⑥金融機関が融資を実行する
信用保証協会の保証を利用しない県制度融資もあります。
また、制度によっては金融機関への申込み前に、行政機関や商工団体等の認定・推薦を受ける必要があります。
出典:栃木県「申込手続の流れ」
実務上は、次のように準備を進めます。
手順 主な取り組み
1 資金使途・必要額・必要時期を整理する
2 直近の業績と資金繰りを確認する
3 候補となる融資制度を調べる
4 取扱金融機関へ事前相談する
5 必要な認定・推薦を確認する
6 申込書・決算書・事業計画等を準備する
7 金融機関へ正式に申し込む
8 金融機関の審査・面談へ対応する
9 信用保証協会の審査・面談等へ対応する
10 融資条件を確認して契約する
11 融資実行後に資金を目的どおり使用する
12 返済と経営計画の進捗を管理する
融資相談前に一枚で概要を整理する
初回相談では、詳細な事業計画書が完成していなくても相談できます。
ただし、次の内容を一枚程度に整理しておくと、具体的な制度や必要書類を案内してもらいやすくなります。
項目 記載する内容
会社概要 業種、所在地、創業年、従業員数
事業内容 主な商品・サービス、顧客
資金使途 何に使用するか
必要額 総額と内訳
必要時期 いつまでに必要か
自己資金 自社で準備できる金額
希望期間 何年で返済したいか
返済原資 どの売上・利益から返済するか
現在の業績 売上、利益、現預金
既存借入金 残高、毎月返済額、完済時期
今後の計画 融資後に何を実行するか
相談事項 制度、保証、担保、返済期間等
「借りられるだけ借りたい」と伝えるのではなく、必要額と計算根拠を示しましょう。
基本的な必要書類を準備する
必要書類は、制度、資金使途、法人・個人の別、金融機関、信用保証協会の利用状況などによって異なります。
一般的に準備する書類は次のとおりです。
書類 主な目的
融資申込書 希望額、期間、資金使途等を確認する
会社・事業概要 事業内容、沿革、取引先等を確認する
決算書・確定申告書 過去の業績、財務状況を確認する
勘定科目明細 売掛金、貸付金、借入金等の内容を確認する
直近の試算表 決算後の業績を確認する
資金繰り表 今後の入出金と資金不足額を確認する
借入金一覧表 借入先、残高、返済額等を確認する
商業登記簿謄本 法人、役員、事業目的等を確認する
納税証明書 税金の納付状況を確認する
許認可証 必要な営業許可等を確認する
預金通帳等 入出金、自己資金、支払状況を確認する
固定資産資料 不動産、設備、担保等を確認する
株主名簿 株主構成を確認する
事業計画書 融資後の事業と返済可能性を確認する
栃木県信用保証協会は、基本的な添付書類として、確定申告書・決算書2期分、法人の場合は別表・勘定科目明細、商業登記簿謄本、必要に応じた固定資産評価証明書等を案内しています。
出典:栃木県信用保証協会「必要書類等」
創業直後などで2期分の決算書がない場合は、提出できる決算書、試算表、創業計画書などで審査を受けます。
金融機関や制度ごとに必要書類は異なるため、古い資料や別制度の一覧をそのまま使用せず、申込時に最新の必要書類を確認してください。
栃木県は、資金ごとの様式集と添付書類一覧を公開しています。
出典:栃木県「中小企業者等向け添付書類一覧」
運転資金では必要額の根拠を示す
運転資金を申し込む場合は、「とりあえず半年分」といった概算だけではなく、入出金の予定から必要額を説明します。
準備する主な資料は次のとおりです。
・今後12か月程度の資金繰り表
・売掛金・受取手形の一覧
・買掛金・支払手形の一覧
・在庫の一覧
・受注書・契約書
・仕入れ・外注の見積書
・給与・賞与の支払予定
・税金・社会保険料の納付予定
・既存借入金の返済予定
・季節変動を示す月別売上
例えば、大口受注に伴う運転資金であれば、受注金額だけでなく、材料費、外注費、納期、入金予定日、得られる利益を説明します。
赤字補填のための運転資金であれば、赤字になった原因と改善策も必要です。
設備資金では見積書と投資効果を示す
設備資金では、購入する設備と支払額を確認できる資料が必要です。
・見積書
・カタログ・仕様書
・売買契約書案
・工事見積書
・建築図面
・不動産資料
・車検証等の車両資料
・設備の設置場所
・導入スケジュール
・補助金の申請・交付決定資料
・投資効果の試算
・導入後の収支計画
見積書には、設備本体だけでなく、運搬、設置、付帯工事、システム設定等が含まれているか確認します。
複数の設備を導入する場合は、設備ごとに必要性と効果を説明しましょう。
金融機関が確認するのは、設備そのものの性能だけではありません。
・本当に事業に必要か
・受注や需要の根拠があるか
・導入後に利益が増えるか
・投資額が過大ではないか
・設備を操作できる人材がいるか
・設置場所や許認可に問題がないか
・返済期間が設備の使用期間と合っているか
設備の導入を目的にせず、経営課題をどのように改善するかを説明してください。
創業資金では創業計画書を具体化する
創業支援資金では、過去の決算実績がないため、創業計画書の実現可能性が重要になります。
栃木県信用保証協会も、創業資金の保証審査で創業計画書を確認し、必要に応じて事業所訪問や面談を行うと案内しています。
出典:栃木県信用保証協会「創業資金のご利用の流れ」
創業計画書には、次の内容を記載します。
・創業する理由
・経営者の経験・資格
・商品・サービス
・顧客
・競合との違い
・販売方法
・仕入先・外注先
・店舗・設備
・従業員
・必要資金
・自己資金
・売上・利益計画
・資金繰り
・返済計画
・売上未達時の対応策
売上計画は、客数、客単価、営業日数、成約率などへ分解します。
例えば、月商300万円と記載するだけではなく、次のように根拠を示します。
◆月商300万円=1日当たり顧客数20人×客単価6,000円×営業日数25日
創業に初めて着手する場合は、法人の登記事項証明書、個人事業の開業届、店舗の賃貸借契約書、商品の売買契約書など、事業への客観的な着手を確認できる資料が必要になる場合があります。
借換資金では既存借入金を一覧にする
借換えを希望する場合は、既存借入金を借入先別に整理します。
確認項目 主な内容
借入先 銀行、信用金庫、日本政策金融公庫等
資金名 制度融資、プロパー融資等
当初借入額 借入時の金額
現在残高 申込時点の残高
金利 現在の適用金利
毎月返済額 元金と利息
完済予定 返済終了年月
信用保証 保証制度、保証付き残高
担保・保証人 担保、経営者保証等
借換可否 対象制度の要件を満たすか
借換え後は、毎月返済額だけでなく、返済期間、総支払利息、信用保証料、完済予定を比較します。
借換えによって生まれる資金余力を、どの改善策へ充てるのかも説明しましょう。
金融機関の審査項目を理解する
金融機関は、融資した資金を契約どおり返済できるかを確認します。
主な審査項目は次のとおりです。
審査分野 主な確認事項
事業実態 会社が実際に事業を営んでいるか
経営者 経歴、事業理解、経営姿勢、説明能力
資金使途 使い道が明確で、制度対象に合うか
必要額 見積書や資金繰りと整合しているか
収益性 本業で利益を確保できているか
安全性 自己資本、借入金、債務超過等
キャッシュフロー 返済に充てられる資金を確保できるか
資金繰り 融資後も支払いを継続できるか
返済実績 既存借入金の返済に遅れがないか
納税状況 税金の滞納がないか
事業計画 売上・利益計画に根拠があるか
取引関係 顧客依存、仕入先、契約の安定性
保証・担保 信用保証、経営者保証、担保等
情報開示 不利な情報も正確に説明しているか
赤字や債務超過であっても、直ちに融資を受けられないと決まるわけではありません。
一時的な赤字なのか、改善の可能性があるのか、融資後に返済原資を確保できるのかが重要です。
反対に、黒字であっても、売掛金や在庫が過大、借入金が多い、資金使途が曖昧といった場合は、希望どおりの融資を受けられない可能性があります。
決算書の数字を自分の言葉で説明する
融資面談では、経営者が自社の数字を理解しているか確認されます。
最低限、次の質問には答えられるようにしましょう。
・主な売上先はどこか
・何を販売して利益を得ているか
・売上が増減した理由は何か
・粗利益率が変化した理由は何か
・赤字の原因は何か
・売掛金が多い理由は何か
・在庫が増えた理由は何か
・役員貸付金や仮払金の内容は何か
・借入金はいくらあるか
・毎月いくら返済しているか
・現預金はいくらあるか
・融資後の年間返済額はいくらか
・返済原資は何か
税理士や支援者が計画書を作成していても、経営者自身が説明できなければ、計画の実行可能性を疑われる可能性があります。
専門用語を使う必要はありません。数字が変化した理由と今後の対応を具体的に説明することが重要です。
事業計画は過度に楽観的にしない
融資を受けるために、売上計画を過大に設定してはいけません。
売上計画は、次のような根拠から作成します。
・過去の売上実績
・受注書・契約書
・顧客からの引き合い
・商談件数と成約率
・顧客数と客単価
・生産能力
・営業日数
・市場データ
・設備導入による増産可能量
・担当者数と営業活動量
計画どおりの場合だけでなく、売上が70%、50%にとどまった場合の資金繰りも確認します。
売上未達時の対応策まで示せれば、経営者がリスクを認識していることを説明できます。
追加資料の依頼には早めに対応する
審査中に、金融機関や信用保証協会から追加資料や説明を求められる場合があります。
追加依頼は、必ずしも審査に否定的という意味ではありません。判断に必要な情報が不足している可能性があります。
追加資料の例は次のとおりです。
・最新の試算表
・資金繰り表
・受注書・契約書
・売掛金・買掛金明細
・在庫明細
・役員貸付金等の内訳
・見積書
・設備仕様書
・納税証明書
・許認可証
・事業計画の修正版
・借入金返済予定表
・不動産・担保資料
提出が遅れると、審査や融資実行も遅れる可能性があります。
すぐに提出できない場合は、放置せず、準備できる時期と不足理由を担当者へ伝えましょう。
融資条件を確認してから契約する
審査に通った後は、契約前に次の条件を確認します。
確認項目 主な内容
融資額 希望額と実行額
資金使途 使用できる支出
金利 適用利率、固定・変動
返済期間 返済回数、完済予定日
据置期間 元金返済の開始時期
返済方法 元金均等、元利均等等
信用保証料 金額、支払方法
経営者保証 代表者保証の有無
担保 対象資産、設定順位
融資実行日 資金が入金される日
返済日 毎月の返済日
繰上返済 手数料、保証料返戻
報告義務 決算書、試算表等の提出
特約・条件 認定、補助金、資金使途等
毎月返済額だけでなく、利息、信用保証料、諸費用を含む総負担額も確認してください。
希望額より減額された場合は、自己資金、投資内容、発注時期を見直し、資金不足のまま事業を開始しないようにしましょう。
融資実行後も資金使途と成果を管理する
融資は、資金が入金された時点で終了ではありません。
融資実行後は、申込時に説明した目的どおりに資金を使用し、支払記録を管理します。
・請求書
・領収書
・振込記録
・売買契約書
・設備の納品書
・工事完了書類
・許認可・届出
・補助金の実績報告資料
運転資金についても、借入後の預金残高だけを見るのではなく、売上、利益、売掛金、在庫、借入返済などを確認します。
融資後に管理する主な指標は次のとおりです。
分野 主な確認指標
売上 売上高、受注額、顧客数
利益 粗利益、営業利益、限界利益
資金 現預金、資金余力月数
回収 売掛金、回収期間、入金遅延
在庫 在庫金額、在庫期間、不良在庫
返済 毎月返済額、年間返済額
設備 稼働率、生産量、停止時間
生産性 作業時間、残業時間、1人当たり売上
投資 投資効果、投資回収期間
計画 計画と実績の差
計画を下回っている場合は、原因と対応策を金融機関へ早めに共有しましょう。
返済日に資金が不足すると判明してから相談するのではなく、資金繰り表で不足を予測した段階で相談することが重要です。
申込みで避けたい進め方を確認する
次のような進め方は、審査の遅延や資金繰り悪化につながる可能性があります。
・資金が尽きる直前に相談する
・制度の利用要件を確認せず申し込む
・融資限度額をそのまま希望額にする
・必要額の根拠を準備しない
・見積書を取る前に設備資金を申し込む
・融資承認前に高額な契約・発注を行う
・補助金の採択を確実な入金として扱う
・売上計画を過大に設定する
・既存借入金や他行への申込みを隠す
・税金や社会保険料の未納を説明しない
・書類ごとに異なる数字を記載する
・追加資料の依頼へ対応しない
・融資金を申込時と異なる目的へ使用する
・融資後の実績を確認しない
・返済が難しくなるまで金融機関へ相談しない
融資審査では、完璧な会社であることを示す必要はありません。
現在の経営課題を正確に把握し、必要資金、改善策、返済計画を現実的に説明することが重要です。
栃木県の中小企業向け融資を申し込む際は、資金使途と必要額を整理し、資金が必要になる前に取扱金融機関へ相談しましょう。
次章では、融資を受けた後の返済計画、資金繰り管理、金融機関との関係づくり、返済が難しくなった場合の対処法について解説します。
栃木県の中小企業向け融資後の管理と返済対策
栃木県の中小企業向け融資後の管理と返済対策
栃木県の中小企業向け融資は、資金が入金された時点で終わるものではありません。
融資後は、申込時に説明した目的どおりに資金を使用し、売上、利益、現預金、借入残高、返済額を継続的に管理する必要があります。
設備投資や新規事業のために融資を受けた場合は、計画した成果が出ているかも確認します。計画を下回っているにもかかわらず対応を先延ばしにすると、返済資金が不足し、追加融資や返済条件の変更が必要になる可能性があります。
融資後に管理すべき主な項目は次のとおりです。
管理分野 主な確認事項
資金使途 申込時に説明した目的どおりに使用したか
現預金 今後の支払いに必要な残高を確保できているか
返済 元金、利息、信用保証料等を予定どおり支払えるか
売上 計画した売上や受注を確保できているか
利益 売上から必要な利益と返済原資を確保できているか
売掛金 回収遅延や回収不能が発生していないか
在庫 過剰在庫や不良在庫が増えていないか
設備 稼働率、生産量、削減効果が計画どおりか
借入金 残高、毎月返済額、完済時期を把握しているか
計画 申込時の計画と実績の差を確認しているか
金融機関 業績や資金繰りを定期的に報告しているか
リスク 返済困難の兆候を早期に把握しているか
返済が難しくなった場合も、金融機関からの連絡を避けたり、無断で返済を止めたりしてはいけません。
返済日を迎える前に、金融機関、信用保証協会、公的支援機関、専門家へ相談し、借換え、返済条件の変更、経営改善、事業再生などを検討することが重要です。
栃木県の中小企業向け融資後の返済・資金繰り管理
融資後の資金繰り管理では、預金残高だけを見るのではなく、今後いつ、いくら入金され、いつ、いくら支払うのかを確認します。
決算書が黒字でも、売掛金や在庫が増えて現金を回収できていなければ、借入金を返済できない場合があります。
反対に、一時的に赤字でも、減価償却費や売掛金の回収などによって返済資金を確保できる場合があります。
損益と資金繰りを分けて管理しましょう。
融資金を申込時の資金使途どおりに使用する
融資金は、申込時に金融機関へ説明した目的に使用します。
設備資金として借りた資金を、赤字補填、役員への貸付け、個人的な支出などへ流用してはいけません。
設備資金では、次の資料を保管します。
・見積書
・売買契約書
・請求書
・振込記録
・領収書
・納品書
・設備の写真
・工事完了報告書
・許認可・届出
・補助金の実績報告資料
運転資金についても、資金の入出金を確認できるようにします。
・仕入れ・外注費の請求書
・給与台帳
・家賃・地代
・広告宣伝費
・受注書・契約書
・売上代金の入金記録
・資金繰り表
・預金通帳・入出金明細
融資金と自己資金が同じ預金口座に入っていても、会計帳簿と支払記録によって使途を説明できる状態にしましょう。
申込時と異なる支出が必要になった場合は、自己判断で流用せず、事前に金融機関へ確認してください。
借入金一覧表を毎月更新する
借入先が複数ある場合、経営者が借入残高や年間返済額を正確に把握できていないことがあります。
借入金は、金融機関別・契約別に一覧化します。
管理項目 主な内容
借入先 銀行、信用金庫、日本政策金融公庫等
制度名 県制度融資、市町制度融資、プロパー融資等
当初借入額 融資実行時の金額
現在残高 月末時点の借入残高
資金使途 運転資金、設備資金、借換資金等
金利 適用利率、固定・変動
信用保証 保証制度、保証付き残高
経営者保証 代表者保証の有無
担保 対象資産、順位
毎月返済額 元金と利息
返済日 毎月の引落日
据置期間 元金返済の開始日
完済予定 最終返済年月
特約 財務報告、資金使途等の条件
借入金一覧表の残高は、試算表の借入金残高、金融機関の返済予定表と一致させます。
短期借入金、長期借入金、役員借入金、リース債務等を区別し、今後12か月以内に返済する金額も確認しましょう。
資金繰り表は実績と予定を分けて作成する
資金繰り表には、過去の実績だけでなく、今後の入出金予定を記載します。
通常は月単位で12か月程度を作成し、資金不足が迫っている場合は週単位や日単位でも管理します。
収入 支出
現金売上 商品・原材料の仕入れ
売掛金の回収 外注費
手形・電子記録債権の回収 給与・賞与
借入金 家賃・地代
補助金・助成金 水道光熱費
資産売却代金 税金・社会保険料
出資・増資 借入金の元金返済
その他の入金 利息・信用保証料
設備投資
その他の支払い
毎月、予定と実績を比較します。
確認項目 主な確認内容
売上入金 予定どおり回収できたか
仕入れ・外注 予定より増加していないか
人件費 採用、残業、賞与等の影響はないか
税金 納税資金を確保しているか
設備投資 追加工事や費用増加はないか
借入返済 元金・利息を支払ったか
月末残高 安全資金を確保できているか
予定との差 原因と対応策を決めたか
資金繰り表は、一度作成して終わるものではありません。
売上、入金、仕入れ、設備投資等の予定が変わるたびに更新し、最低預金残高と資金不足の発生時期を確認しましょう。
13週間程度の短期資金繰りも確認する
資金繰りが厳しい場合は、月単位だけでは支払日のずれを把握できません。
例えば、月末時点では預金が残っていても、給与支払日や仕入代金の支払日に一時的な資金不足が発生する場合があります。
そのため、今後13週間程度を週単位で確認する方法があります。
週 主な確認事項
第1週 売掛金入金、家賃、借入返済
第2週 仕入代金、外注費、税金
第3週 売上入金、社会保険料
第4週 給与、買掛金、月末支払い
翌月以降 大口支払い、賞与、設備代金等
週次資金繰りでは、入金が確定しているものと、まだ確定していないものを分けます。
受注予定、補助金、資産売却など、入金時期が確定していない資金を確実な収入として計算してはいけません。
利益と返済原資を分けて確認する
借入金の元金返済は、損益計算書の費用にはなりません。
そのため、営業利益が出ていても、元金返済額が大きければ現預金が減少する可能性があります。
返済原資の簡易的な目安は次のとおりです。
◆簡易返済原資=税引後利益+減価償却費
ただし、実際には設備更新、運転資金の増加、納税、配当等にも資金が必要です。
より慎重に確認する場合は、次のように計算します。
◆実質的な返済原資=税引後利益+減価償却費-必要設備投資-増加運転資金-その他の資金支出
年間の元金返済額が、実質的な返済原資を上回っている場合は、預金の取崩しや追加借入れによって返済している可能性があります。
返済余力は次のようにも確認できます。
◆返済余力倍率=実質的な返済原資÷年間元金返済額
返済余力倍率が1を下回る場合、計算上は本業等から得られる資金だけで年間返済額を賄えていません。
ただし、この指標だけで融資の可否や経営状態を判断できるわけではありません。臨時収入、設備投資の内容、売掛金・在庫の増減なども含めて確認してください。
返済困難の兆候を早期に把握する
返済困難の兆候を早期に把握する
次のような状態は、資金繰り悪化の兆候です。
兆候確 認すべき原因
預金残高が毎月減少する 赤字、返済過多、設備投資、運転資金増加
売上が増えても現金が増えない 売掛金・在庫の増加
売掛金の回収が遅れている 顧客の資金繰り、請求漏れ、契約条件
在庫が増加している 売上減少、過剰発注、不良在庫
税金等を運転資金へ使用する 利益不足、資金管理不足
仕入先への支払いを遅らせる 現預金不足、支払条件の不一致
短期借入れを繰り返す 慢性的な資金不足
役員個人から資金を補う 本業の資金創出力不足
複数の返済日を管理できない 借入過多、管理不足
賞与や設備修繕を延期する 資金余力の低下
借入金で借入金を返済する 返済原資不足
高金利の借入れへ依存する 通常の資金調達が困難
一つの兆候だけで直ちに経営危機と判断する必要はありません。
しかし、複数の兆候が続く場合は、次回の返済日を迎える前に金融機関や支援機関へ相談しましょう。
納税・賞与・設備修繕の資金を別に確保する
毎月の返済ができていても、納税、賞与、設備修繕などによって突然資金が不足する場合があります。
年間資金計画には、次の支払いを含めます。
・法人税・所得税
・消費税
・住民税
・固定資産税
・社会保険料
・労働保険料
・賞与
・退職金
・設備の定期点検
・車検・保険
・システム更新
・許認可の更新
・年払いの保険料・会費
・季節的な仕入れ
・借入金の一括返済
消費税や源泉所得税など、将来納付する資金を日常の運転資金へ使用すると、納付時期に資金不足が起こりやすくなります。
納税用口座を分ける、毎月一定額を積み立てるなどの管理方法を検討しましょう。
売掛金の回収を早める
売上が増えても、売掛金を回収できなければ返済資金にはなりません。
売掛金について、次の内容を毎月確認します。
・顧客別の売掛金残高
・請求日
・入金予定日
・入金実績
・回収遅延日数
・与信限度額
・取引条件
・未請求の売上
・回収困難の可能性
・営業担当者の対応状況
回収遅延が発生した場合は、請求漏れ、顧客側の事務処理、資金繰り悪化、取引上のトラブルなど、原因を確認します。
新規取引先や大口取引先については、取引開始時に支払条件と与信限度額を決めましょう。
特定の取引先へ売上が集中している場合は、その取引先の支払いが遅れるだけで、自社の返済が難しくなる可能性があります。
在庫を資金として管理する
在庫は販売できれば現金になりますが、保有している間は資金が固定されています。
確認する主な項目は次のとおりです。
・商品・材料別の在庫金額
・在庫数量
・入庫日
・最終販売日
・保管期間
・販売予定
・廃棄・値下げの必要性
・棚卸差異
・発注点
・適正在庫量
売上が減少しているにもかかわらず、従来と同じ数量を仕入れ続けると、在庫と借入金が同時に増加する可能性があります。
不良在庫の処分、発注単位の見直し、仕入頻度の調整、受注生産への変更などを検討しましょう。
設備投資の成果を数値で確認する
設備投資の成果を数値で確認する
設備資金を利用した場合は、設備を導入しただけで成果と考えてはいけません。
申込時に設定した効果と実績を比較します。
分野 主なKPI
売上 設備による売上増加額、受注件数
利益 粗利益、限界利益、営業利益
生産 生産量、稼働率、停止時間
品質 不良率、返品、手直し件数
納期 製造期間、納期遵守率
人員 削減工数、残業時間、必要人数
外注 外注費、内製化率
経費 電気代、保守費、消耗品費
投資 投資回収額、投資回収期間
返済 設備から生まれた資金と年間返済額
例えば、設備導入によって売上が増えても、材料費、人件費、保守費等が増加し、利益が残らない場合があります。
設備投資の実質的な効果は、次のように確認します。
設備投資の実質効果=増加する限界利益+削減費用-追加固定費-追加運営費
計画を下回っている場合は、営業不足、受注不足、稼働率、品質、人材、原価など、原因を分けて改善します。
栃木県の中小企業向け融資の返済が難しい場合の対処法・相談先
栃木県の中小企業向け融資の返済が難しい場合の対処法・相談先
栃木県の中小企業向け融資の返済が難しい場合の対処法・相談先
借入金の返済が難しくなる可能性がある場合は、返済期日の直前や延滞後ではなく、資金不足を予測した段階で相談します。
金融機関へ相談したからといって、必ず返済条件を変更できるわけではありません。
一方、相談を先延ばしにすると、選択できる対策が少なくなる可能性があります。
返済困難時の基本的な対応は次のとおりです。
①今後の資金不足額と発生時期を確認する
②資金不足の原因を分析する
③自社で実行できる改善策を整理する
④金融機関へ早期に相談する
⑤借換え・条件変更等の選択肢を比較する
⑥必要に応じて信用保証協会や公的支援機関へ相談する
⑦経営改善計画を作成する
⑧計画を実行し、月次で進捗を報告する
⑨改善が困難な場合は事業再生等を検討する
返済日より前に金融機関へ相談する
返済日より前に金融機関へ相談する
返済口座の残高が不足すると分かっている場合は、返済日を過ぎるまで放置してはいけません。
金融機関へ次の内容を伝えます。
・資金が不足する時期
・不足する金額
・支払えない可能性がある借入金
・資金不足の原因
・現在の売上・利益
・現預金
・売掛金・在庫
・今後の入金予定
・自社で行う改善策
・希望する対応
・今後の返済可能額
「返済できないので待ってほしい」だけでは、金融機関は対応を判断できません。
なぜ返済できないのか、いつまでに、どの程度改善できるのかを説明しましょう。
金融機関からの連絡を避ける、事実と異なる入金予定を伝える、ほかの借入れを隠すといった対応は、信頼関係を損ないます。
資金不足の原因を一時的・構造的に分ける
返済困難の原因によって、必要な対策は異なります。
原因 主な状態 検討する対策
入金の一時的な遅れ 入金後は返済できる 短期資金、返済日の調整相談
季節的な資金不足 毎年同じ時期に不足する 年間資金計画、短期融資
売上増加による 資金不足売掛金・在庫が増えている 増加運転資金、回収・在庫改善
一時的な売上減少 回復の根拠がある 運転資金、経営安定資金
構造的な赤字 売上が戻っても利益が出ない 値上げ、原価・固定費改善
過大な元金返済 利益に対して返済額が大きい 借換え、返済条件変更
債務過多 借入残高が収益力に比べて多い 経営改善、事業再生
事業継続が困難 改善後も返済原資を確保できない 再生、承継、廃業等の検討
一時的な資金不足であれば、短期資金や入金回収によって改善できる場合があります。
構造的な赤字を追加融資だけで補填すると、借入残高と返済負担が増加します。新たな融資を受ける前に、収益改善策を明確にする必要があります。
返済条件の変更を検討する
金返済額や返済期間等を見直す場合があります。
主な選択肢は次のとおりです。
対応方法 主な内容 注意点
元金返済の減額 一定期間の毎月元金を減らす 減額分は将来返済する必要がある
元金返済の据置き 一定期間、元金返済を止める 利息等の支払いが続く場合がある
返済期間の延長 完済時期を延ばす 支払利息総額が増える可能性がある
借換え 新たな融資で既存借入金を返済する 対象借入金や審査に条件がある
複数借入れの集約 借入れをまとめて返済額を調整する 保証料や諸費用が発生する場合がある
追加融資 改善までの運転資金を確保する 返済可能性を説明する必要がある
資産売却 不要資産等を売却して返済する 事業継続への影響を確認する
資本性資金等 条件に合う資金を検討する 利用要件や審査がある
返済条件の変更は、借入金が免除される手続きではありません。
元金返済を一時的に減らしても、借入残高は残ります。猶予期間終了後の返済額、完済時期、支払利息を確認してください。
また、返済条件を変更した後は、新規融資を受けにくくなる可能性があります。経営改善計画と将来の資金需要を併せて検討しましょう。
借換えと条件変更を比較する
借換えと返済条件の変更は、同じものではありません。
比較項目 借換え 返済条件の変更
基本的な方法 新しい融資で既存融資を返済する 既存融資の返済条件を変更する
審査 新規融資として審査を受ける 既存金融機関等と協議する
借入残高 追加資金を含めると増える場合がある 原則として既存残高が継続する
信用保証料 新たに発生する場合がある 変更内容により追加費用が生じる場合がある
毎月返済額 返済期間等により減る可能性がある 一定期間減額・据置きできる可能性がある
主な目的 借入れの集約、返済期間の見直し 当面の返済負担を軽減する
注意点 対象となる借入金が限定される場合がある 改善策がなければ問題の先送りになる
栃木県制度融資では、経営サポート資金に一定の借換融資が設けられています。
出典:栃木県「経営サポート資金の御案内」
利用できる借換制度は、既存借入金の種類、保証制度、申込時期等によって異なります。金融機関へ借入金一覧表を提出し、対象になる借入金を確認してください。
経営改善計画を作成する
返済条件の変更や借換えを検討する場合は、経営改善計画の作成を求められることがあります。
経営改善計画には、次の内容を記載します。
・会社概要
・株主・役員
・事業内容
・商品・サービス別の売上と利益
・主要顧客・仕入先
・現在の財務状況
・借入金と返済状況
・業績が悪化した原因
・経営上の課題
・改善策
・売上・利益計画
・資金繰り計画
・借入金返済計画
・改善策の責任者
・実施期限
・月次の確認指標
・計画未達時の対応策
改善策は、「売上を増やす」「経費を削減する」といった抽象的な表現で終わらせません。
例えば、次のように具体化します。
抽象的な改善策 具体的な改善策
売上を増やす 既存顧客50社へ新商品を提案し、6か月以内に10社から受注する
値上げする 原価上昇率を算定し、主要顧客と3か月以内に価格改定を交渉する
在庫を減らす 180日超の在庫を一覧化し、廃棄・値下げ・仕入停止を決める
経費を減らす 契約別に固定費を見直し、年間300万円を削減する
生産性を上げる 工程改善により1件当たり作業時間を20%短縮する
不採算事業を見直す 商品・顧客別利益を算出し、赤字取引の価格・継続を判断する
売上、利益、資金繰り、返済の数字を一貫させることが重要です。
早期経営改善計画策定支援を確認する
早期経営改善計画策定支援を確認する
資金繰り管理や収益改善へ早めに取り組む場合は、国の早期経営改善計画策定支援を利用できる可能性があります。
同制度では、認定経営革新等支援機関の支援を受けて、資金繰り計画、ビジネスモデル、アクションプラン等を作成する際、専門家費用の一部が補助されます。
出典:中小企業庁「早期経営改善計画策定支援」
返済条件の変更等を伴う本格的な経営改善が必要な場合は、経営改善計画策定支援の対象となる可能性があります。
出典:中小企業庁「経営改善計画策定支援」
対象要件、補助対象費用、自己負担額、申請手順等は変更される場合があります。認定経営革新等支援機関や栃木県中小企業活性化協議会へ確認してください。
栃木県信用保証協会へ相談する
栃木県信用保証協会へ相談する
信用保証付き融資を利用している場合は、取扱金融機関に加えて、栃木県信用保証協会へ相談できる場合があります。
栃木県信用保証協会では、経営相談会、経営安定化支援、経営サポート会議、外部専門家による個別指導、経営改善計画策定費用の補助等を案内しています。
出典:栃木県信用保証協会「経営をサポートします」
相談できる主な内容として、次のようなものがあります。
・資金繰り
・保証付き融資
・経営改善
・返済条件
・金融機関との調整
・経営改善計画
・専門家の活用
・事業再生
・創業後の経営課題
保証協会が金融機関へ代位弁済した場合でも、会社の返済義務が消えるわけではありません。保証協会が求償権を取得し、会社は保証協会へ弁済することになります。
出典:栃木県信用保証協会「信用保証協会の仕組み」
「保証協会が代わりに返済するから借入金がなくなる」と誤解してはいけません。代位弁済へ至る前に、金融機関や保証協会へ相談することが重要です。
栃木県中小企業活性化協議会へ相談する
金融機関との調整を伴う経営改善や事業再生が必要な場合は、栃木県中小企業活性化協議会へ相談できます。
同協議会は、金融機関や専門家等と連携し、収益力改善、経営改善、事業再生、再チャレンジ等を支援する公的機関です。
出典:栃木県中小企業活性化協議会
主な相談内容として、次のようなものがあります。
・借入金の返済負担が重い
・複数の金融機関との調整が必要
・経営改善計画を作成したい
・赤字や債務超過を改善したい
・事業再生の可能性を確認したい
・不採算事業を整理したい
・事業譲渡や事業承継を検討したい
・廃業を含めた再チャレンジを検討したい
・経営者保証の整理を相談したい
相談したからといって、必ず債務減免や返済条件の変更を受けられるわけではありません。
会社の収益力、事業価値、資産、借入金、改善可能性などを確認し、適切な支援方法を検討します。
税金・社会保険料の支払いも早めに相談する
資金繰りが厳しい場合でも、税金や社会保険料を無断で滞納してはいけません。
税金等の滞納は、延滞金や差押えだけでなく、制度融資、補助金、許認可等へ影響する可能性があります。
支払いが難しい場合は、期限前または滞納が拡大する前に、税務署、県税事務所、市町、年金事務所等へ相談してください。
金融機関へ提出する資金繰り表には、借入返済だけでなく、税金・社会保険料の支払予定も記載します。
分納や猶予等の取扱いは、税目、状況、相談先によって異なります。自社だけで判断せず、関係機関や税理士等へ確認しましょう。
改善が難しい場合は事業再生・承継・廃業も比較する
経営改善を行っても返済原資を確保できない場合、追加融資や返済猶予を続けるだけでは問題を解決できません。
次の選択肢を比較する必要があります。
・収益性のある事業へ集中する
・不採算事業を廃止する
・店舗・拠点を統合する
・不要資産を売却する
・スポンサーや出資者を探す
・M&Aで事業を譲渡する
・第二会社方式等を検討する
・私的整理を検討する
・民事再生等の法的手続きを検討する
・計画的に廃業する
・経営者保証の整理を検討する
どの方法が適切かは、会社の事業価値、資産、借入金、担保、保証、従業員、取引先等によって異なります。
事業再生や廃業には、金融、法務、税務、労務等の専門知識が必要です。弁護士、税理士、公認会計士、中小企業診断士、社会保険労務士等へ相談してください。
返済が難しいときに避けたい行動を確認する
次のような対応は、資金繰りや金融機関との関係をさらに悪化させる可能性があります。
・返済日まで何も相談しない
・金融機関からの連絡を無視する
・無断で返済を止める
・入金予定や受注について虚偽の説明をする
・ほかの金融機関への申込みを隠す
・税金・社会保険料の滞納を隠す
・資金使途と異なる目的へ融資金を使用する
・高金利の借入れで返済を続ける
・個人のクレジットカード等で事業資金を補う
・架空売上や在庫の過大計上を行う
・支払手形や小切手を安易に発行する
・経営者個人や家族の資産を検討せず担保提供する
・返済条件変更後も経営改善を行わない
・専門家へ相談せず資産を安価で処分する
・事業を継続できない状態で借入れを増やす
一時的に支払いを確保できても、返済原資が増えなければ、資金不足は再発します。
資金を調達することと、利益・キャッシュフローを改善することを同時に進めましょう。
返済相談前に準備する資料を整理する
金融機関や支援機関へ相談する際は、すべての資料が完成していなくても構いません。
ただし、次の資料があると、具体的な対応を検討しやすくなります。
・直近3期分の決算書・確定申告書
・最新の月次試算表
・今後12か月の資金繰り表
・13週間程度の短期資金繰り表
・金融機関別の借入金一覧表
・返済予定表
・預金残高
・売掛金・買掛金の一覧
・在庫一覧
・納税・社会保険料の状況
・主要顧客・仕入先
・受注・解約等の資料
・資金不足の原因
・自社で行う改善策
・売上・利益計画
・希望する返済条件
・資産・担保・経営者保証の状況
数字が確定していない項目は、根拠と前提を明記します。
悪い数字を隠すのではなく、現状、原因、対応策、期限を整理することが重要です。
融資後の管理と返済対策をまとめる
栃木県の中小企業が融資を適切に管理する手順は、次のように整理できます。
①融資金を申込時の目的どおりに使用する
②請求書や振込記録等を保管する
③借入金一覧表を作成する
④12か月程度の資金繰り表を更新する
⑤必要に応じて週次資金繰りを作成する
⑥売上、利益、現預金、返済原資を確認する
⑦売掛金・在庫を管理する
⑧融資による投資効果を検証する
⑨計画と実績の差を月次で確認する
⑩金融機関へ定期的に情報を共有する
⑪返済困難の兆候を早期に把握する
⑫返済日より前に金融機関へ相談する
⑬借換え・条件変更・経営改善を比較する
⑭必要に応じて公的支援機関や専門家を活用する
⑮改善が難しい場合は事業再生・承継等を検討する
融資は、会社を成長させ、資金繰りを安定させるための手段です。
しかし、融資後の売上、利益、現預金、返済額を管理しなければ、借入残高だけが残る可能性があります。
特に重要なのは、返済が難しくなってから対策を始めるのではなく、資金繰り表で不足を予測した段階で相談することです。
Komaki Business Partnersでは、栃木県内の中小企業を対象に、融資申込み前の資金計画、資金繰り表、事業計画、設備投資の採算確認、借入金の整理、金融機関へ提出する経営改善計画、融資後の月次管理などを支援しています。
「融資を受けたが預金残高が増えない」「毎月の返済が資金繰りを圧迫している」「借換えと条件変更のどちらを検討すべきか分からない」「金融機関へ説明する資料を作れない」といった場合は、返済が遅れる前にご相談ください。
なお、融資、返済条件、信用保証、事業再生等の取扱いは、会社の財務状況、借入契約、金融機関、保証制度等によって異なります。実際に対応する際は、取引金融機関、栃木県信用保証協会、公的支援機関、税理士、弁護士等へ確認してください。
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