人手不足対策を実践する栃木県の中小企業が持続成長を遂げるための具体戦略
2026/08/31
「求人を出しても応募がない」「採用してもすぐ辞める」「受注はあるのに現場が回らない」――栃木県の中小企業では、人手不足が採用だけでなく、売上や納期にも影響しています。しかし、やみくもに求人費を増やしても根本解決にはなりません。本記事では、中小企業診断士が県内企業の支援経験を踏まえ、人手不足の原因を整理し、採用・定着・業務改善・省力化を優先順位づけして進める方法を、栃木県の公的支援策とともに具体的に解説します。
目次
栃木県の中小企業における人手不足とは
人手不足というと、「求人を出しても応募が来ない状態」を思い浮かべる経営者も多いでしょう。しかし、企業経営における人手不足は、単なる採用人数の不足だけを意味するものではありません。 従業員数が足りていても、一部の従業員に業務が集中している、必要な技術を持つ人材がいない、退職者の補充が間に合わないといった状態も人手不足に含まれます。 対策を考える際は、すぐに求人広告を増やすのではなく、まず自社でどのような人手不足が起きているのかを正確に把握することが重要です。
人手不足の定義と自社で確認すべき指標
サブ人手不足とは、企業が事業を運営するために必要な人員や能力を確保できず、現在の従業員だけでは業務を円滑に遂行できない状態です。 人手不足は、大きく次の4つに分けて考えることができます。
人手不足を判断するための指標
人手不足を感覚だけで判断すると、必要性の低い採用や設備投資につながるおそれがあります。まずは次の指標を確認しましょう。
確認項目主な指標指標から分かること
採用状況 応募数、応募率、採用人数、内定承諾率 求人条件や採用方法に問題がないか
定着状況 離職率、入社3か月・1年後の定着率 職場環境や教育体制に問題がないか
労働時間 残業時間、休日出勤日数、有給休暇取得率 一部の従業員に負担が偏っていないか
業務量 従業員1人当たりの売上高・生産量 人員に対して業務量が過大ではないか
経営への影響 受注辞退額、納期遅延件数、営業時間短縮日数 人手不足による機会損失が発生していないか
技能・役割 有資格者数、多能工化率、後継者の有無 特定の従業員へ業務が依存していないか
例えば、応募数自体が少ない場合は、求人票や採用チャネル、賃金などの募集条件を見直す必要があります。一方、採用できても短期間で退職者が続く場合は、採用活動を強化する前に、職場環境や教育方法、上司とのコミュニケーションを改善すべきです。
また、残業時間が多いからといって、必ずしも人員が不足しているとは限りません。非効率な作業や部署間の業務量の偏りが原因であれば、業務改善によって解決できる可能性があります。
人手不足対策の第一歩は、「何人足りないか」だけではなく、「どの業務に、どの能力を持つ人材が、どの程度必要なのか」を明確にすることです。
栃木県の人手不足の現状と不足が深刻な業種
栃木県内でも、人手不足は一部の企業だけの問題ではなく、幅広い業種に共通する経営課題となっています。
帝国データバンク宇都宮支店の「栃木県・人手不足に対する企業の動向調査」によると、2026年4月時点で、正社員が不足していると回答した県内企業の割合は52.4%でした。県内企業の半数以上が正社員不足を感じていることになります。
一方、非正社員が不足していると回答した企業は28.1%でした。正社員と非正社員では不足感に差があり、特に長期的な雇用や技術・ノウハウの蓄積を担う正社員の確保が難しくなっている状況がうかがえます。
業種別では「運輸・倉庫」「卸売」「建設」などで、正社員の人手不足割合が県内企業全体を上回っています。ただし、「製造」「小売」「サービス」などでも企業によって状況は異なり、同じ業種であっても、業績、賃金、勤務地、勤務時間、職場環境などによって採用力に差が生じています。
出典:帝国データバンク「栃木県・人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)」
人手不足の背景には、栃木県の人口構造の変化もあります。栃木県の人口調査によると、2025年10月1日時点の県内総人口は186万8,706人で、前年から1万3,636人減少しました。15歳から64歳までの生産年齢人口の割合は58.4%である一方、65歳以上の人口割合は30.9%となっています。
生産年齢人口の減少が続けば、企業が従来と同じ条件・方法で採用活動を続けても、必要な人材を確保することは次第に難しくなります。
出典:栃木県「令和7(2025)年 栃木県の人口」
人手不足の背景には、栃木県の人口構造の変化もあります。栃木県の人口調査によると、2025年10月1日時点の県内総人口は186万8,706人で、前年から1万3,636人減少しました。15歳から64歳までの生産年齢人口の割合は58.4%である一方、65歳以上の人口割合は30.9%となっています。
生産年齢人口の減少が続けば、企業が従来と同じ条件・方法で採用活動を続けても、必要な人材を確保することは次第に難しくなります。
出典:栃木県「令和7(2025)年 栃木県の人口」
特に県北部や中山間地域では、通勤圏内の求職者が限られることに加え、若年層の転出、公共交通の制約、都市部企業との賃金差などが採用に影響する場合があります。そのため、「求人を出して待つ」という従来型の採用活動だけでは、応募者との接点をつくりにくくなっています。
一方で、人手不足の原因をすべて人口減少のせいにするのも適切ではありません。求職者が少ない地域でも、仕事内容や賃金を分かりやすく示している企業、柔軟な勤務時間を設定している企業、職場の様子を積極的に発信している企業には応募が集まることがあります。
つまり、人手不足には企業だけでは解決できない構造的な要因がある一方で、求人内容、働き方、業務設計、情報発信など、自社で改善できる要因もあります。
栃木県の中小企業で人手不足が起きる理由
栃木県の中小企業で人手不足が起きる理由は、少子高齢化や若年層の県外流出だけではありません。採用競争の激化、求人情報の伝え方、労働条件、早期離職、業務の属人化など、複数の要因が重なっているケースが一般的です。 原因を整理しないまま求人広告を増やしても、応募が集まらなかったり、採用した人が短期間で退職したりする可能性があります。効果的な対策を選ぶためには、「社外の環境」と「社内の問題」を分けて考えることが重要です。
人手不足の主因は人口減少・採用難・早期離職
栃木県の中小企業における人手不足の主な原因は、次の6つに整理できます。
生産年齢人口が減少している
第1章で確認したとおり、栃木県では総人口と生産年齢人口が減少する一方、65歳以上の人口割合は上昇しています。
働く世代が減少すれば、企業が採用できる人材の母数も小さくなります。限られた求職者を多くの企業が取り合うため、以前と同じ条件で求人を出しても、応募が集まりにくくなっています。
人口減少は一時的な問題ではありません。そのため、「不足した人数を採用で補充する」という考え方だけでなく、今後は少ない人数でも事業を運営できる体制をつくる必要があります。
大企業や都市部企業との採用競争が激しくなっている
中小企業は大企業と比べて、賃金、休日数、福利厚生、知名度などの面で不利になりやすい傾向があります。特に新卒者や若手人材の採用では、企業名や初任給だけで比較され、応募先の候補に入れないケースもあります。
さらに、オンライン面接やテレワークの普及によって、栃木県内に住みながら県外企業で働く選択肢も増えました。県内の企業同士だけでなく、東京圏を含めた企業との人材獲得競争を意識する必要があります。
ただし、中小企業が賃金だけで大企業と競争することには限界があります。仕事内容、経営者との距離の近さ、転勤の少なさ、柔軟な働き方、地域への貢献など、自社ならではの魅力を具体的に伝えることが重要です。
求人情報から仕事や職場の魅力が伝わっていない
求人票に「製造スタッフ」「営業」「一般事務」などの職種名と労働条件しか書かれていなければ、求職者は入社後の働き方をイメージできません。
例えば、次の情報が不足している求人は、応募につながりにくくなります。
・具体的な仕事内容と1日の流れ
・入社後に仕事を覚える手順
・未経験者への教育方法
・一緒に働く従業員の様子
・仕事のやりがいや地域への貢献
・残業時間や休日取得の実態
・将来の役割やキャリア
・他社にはない自社の特徴
企業側が「当たり前」と考えていることでも、求職者にとっては重要な判断材料です。自社の魅力がないのではなく、魅力が整理されておらず、伝わっていない可能性もあります。
また、求人サイトに掲載するだけでなく、自社ホームページやSNS、職場見学会、社員紹介など、複数の接点を通じて情報を発信する必要があります。
求職者の希望と労働条件が合っていない
仕事内容に魅力があっても、賃金、勤務時間、休日、勤務地などが求職者の希望と大きく離れていれば、応募にはつながりません。
特に、フルタイム勤務や経験者採用だけに限定すると、子育て中の人、シニア人材、未経験者、副業・兼業人材などが応募できなくなります。
すべての条件を求職者に合わせる必要はありませんが、業務を分解することで、採用対象を広げられる場合があります。例えば、1人の正社員に任せていた仕事を「専門知識が必要な業務」と「補助的な業務」に分ければ、短時間勤務者や未経験者を活用できる可能性があります。
「これまで正社員が担当してきたから」という理由だけで採用条件を決めず、業務に本当に必要な勤務時間や経験を見直すことが大切です。
採用後の教育と定着支援が不足している
人手不足を解消するには、採用人数を増やすだけでなく、入社した人が長く働ける環境を整える必要があります。
新入社員に仕事を十分に説明しないまま、「現場を見て覚えてほしい」「分からないことは自分から聞いてほしい」と任せてしまうと、不安や孤立感が生まれます。指導する人によって説明内容が異なることも、早期離職の原因になります。
中小企業庁の2025年版中小企業白書では、人材が不足していない事業者ほど人材の定着率が高く、人材が不足している事業者ほど定着率が低い傾向が示されています。つまり、採用難だけでなく、定着できないことが人手不足を深刻化させている可能性があります。
出典:中小企業庁「2025年版中小企業白書 第4節 人材戦略」
入社時の説明、教育担当者の設定、業務マニュアルの整備、定期面談、評価基準の明確化など、採用後の受け入れ体制まで含めて人材確保を考える必要があります。
業務の属人化と非効率な作業が残っている
特定の従業員にしかできない仕事が多い企業では、その従業員が休んだり退職したりすると、業務が止まってしまいます。
「ベテラン社員しか機械を操作できない」「見積書の作成方法を営業担当者しか知らない」「顧客情報が個人の手帳に残っている」といった状態は、人数不足というよりも、業務の属人化が原因です。
また、二重入力、紙の申請書、手作業による集計、不要な会議などが残っていると、本来は必要のない作業に人員を取られます。この場合、採用を増やす前に、業務の廃止、簡略化、標準化、外注、自動化を検討すべきです。
自社の人手不足がどこから生じているかは、次のように整理できます。
現在の症状 考えられる主な原因 最初に確認すること
求人を出しても応募がない 条件、求人内容、採用チャネル 求人閲覧数、応募率、競合求人
応募はあるが採用できない 採用基準、選考速度、条件の不一致 面接通過率、内定承諾率
採用してもすぐに辞める 教育不足、職場環境、人間関係 早期離職率、退職理由
特定の部署だけ忙しい 業務量や人員配置の偏り 部署別残業時間、業務量
ベテランの退職が不安 属人化、技能承継の遅れ 業務マニュアル、代替要員
全社的に残業が多い 業務過多、非効率な作業 業務一覧、作業時間、重複作業
一つの企業に複数の原因が存在することもあります。経営者の印象だけで判断せず、従業員へのヒアリングと数値の両面から原因を確認しましょう。
人手不足が売上・納期・従業員に与える影響
人手不足を放置すると、既存従業員の負担が増えるだけでなく、売上、利益、品質、顧客からの信用、事業承継など、経営全体に影響が広がります。 人手不足によって発生する主な影響は、次のとおりです。
中小企業の人手不足対策|採用と定着
人手不足を改善するには、「新しい人を採用すること」と「採用した人が長く働ける環境をつくること」を同時に進める必要があります。 応募が少ない企業が求人媒体だけを増やしても、求人内容や労働条件に問題があれば、採用にはつながりません。また、採用に成功しても早期離職が続けば、採用費と教育時間が繰り返し発生し、既存従業員の負担も増えてしまいます。 採用と定着は別々の施策ではなく、一つの人材戦略として考えることが重要です。
人手不足対策として採用ターゲットと求人票を見直す
採用活動を始める前に、「どのような人を採用したいか」ではなく、「どの仕事を任せるために、どのような能力が必要か」を明確にします。 人手不足になると、企業は即戦力となる経験者を求めがちです。しかし、経験、資格、年齢などの条件を増やすほど、採用対象は狭くなります。求める条件が本当に必要なのか、一つずつ見直すことが採用改善の第一歩です。
採用する前に業務内容を整理する
最初に、採用する人へ任せる業務を洗い出します。仕事を整理する際は、次の3つに分けると必要な人材像が明確になります。
業務の分類 内容 採用・配置の考え方
専門業務 資格や経験が必要な業務 経験者、資格保有者、外部専門家を検討する
習得可能な業務 教育により身につけられる業務 未経験者を含めて採用対象を広げる
補助・定型業務 短時間でも担当できる業務 パート、シニア、副業人材なども検討する
例えば、「営業経験者を1人採用する」と決める前に、営業担当者の業務を分解してみます。顧客への提案や商談は経験者が担当し、見積書の入力、訪問日程の調整、資料の準備などは補助担当者へ移せる可能性があります。
仕事を分解すれば、必ずしもすべての業務を1人の正社員へ任せる必要はありません。採用難易度を下げるだけでなく、既存従業員が付加価値の高い仕事へ集中できるようになります。
採用条件を「必須」と「歓迎」に分ける
求人票を作成する際は、求める条件を次のように整理します。
・業務上、必ず必要な資格や経験
・入社後の教育で身につけられる能力
・あれば望ましいが、採否を左右しない経験
・人柄や仕事への姿勢として重視すること
例えば、普通自動車免許が業務上必要であれば必須条件ですが、パソコン操作や商品知識は入社後に教育できる場合があります。
「経験者のみ」「業界経験3年以上」などの条件を慣習的に設定すると、本来は活躍できる未経験者を採用対象から外してしまいます。必要以上に条件を厳しくせず、教育できる範囲を広げることが重要です。
一方で、採用基準を曖昧にすると、面接担当者によって判断が変わります。「挨拶ができる」「協調性がある」といった抽象的な基準ではなく、「分からないことを確認できる」「決められた手順を守れる」など、仕事上の行動として具体化しましょう。
求人票を求職者の視点で書き直す
求人票は、企業が欲しい人材を記載するだけの書類ではありません。求職者が「自分にもできそうか」「安心して働けそうか」を判断するための情報です。
次のような表現だけでは、具体的な仕事内容が伝わりません。
「製造スタッフ募集。未経験者歓迎。明るく働きやすい職場です。」
「明るい」「働きやすい」といった表現は抽象的であり、他社との違いも分かりません。例えば、次のように具体化します。
「金属部品を加工機へセットし、加工後の寸法を測定する仕事です。入社後1か月は教育担当者が機械の操作方法と測定手順を説明します。現在働いている製造スタッフ8名のうち5名は未経験から仕事を始めています。」
求人票には、少なくとも次の内容を記載します。
・具体的な仕事内容
・1日の仕事の流れ
・入社直後に担当する仕事
・独り立ちまでの期間と教育方法
・一緒に働く人数や職場の構成
・残業時間、休日、休暇の実態
・賃金の内訳と昇給の考え方
・必要な資格や経験
・仕事の大変な点
・仕事を通じて得られる経験
・選考方法と入社までの流れ
仕事の良い面だけでなく、大変な点も説明することが重要です。入社前に抱いたイメージと実際の仕事との差が大きいほど、早期離職につながりやすくなります。
賃金・休日などの条件を競合求人と比較する
自社の求人条件が採用市場に合っているかを確認するには、同じ地域・職種の求人と比較します。
比較する項目は、基本給だけではありません。
・月給・時給
・固定残業代の有無
・年間休日数
・勤務時間と交替勤務の有無
・賞与・昇給
・通勤手当
・資格手当
・転勤の有無
・未経験者への教育
・柔軟な勤務時間の可否
賃金をすぐに引き上げることが難しい場合でも、休日数、勤務時間、教育制度、選考方法など、見直せる項目がないか検討します。
ただし、実態より良く見せる表現は避けなければなりません。求人票の条件と実際の労働条件が異なれば、入社後の不信感や早期離職につながります。
採用ターゲットを広げる
経験者や若年層だけに採用対象を限定すると、応募者との接点が少なくなります。業務内容を見直したうえで、次のような人材も検討します。
・未経験者
・子育てや介護と仕事を両立したい人
・シニア人材
・UIJターン希望者
・副業・兼業人材
・外国人材
・障害のある人
・短時間勤務を希望する人
採用対象を広げる際は、単に応募条件を緩和するだけでは不十分です。勤務時間、教育方法、作業負担、職場内のコミュニケーションなど、受け入れ体制も合わせて整える必要があります。
例えば、子育て中の人を採用する場合は、急な休みへの対応方法を決めておく必要があります。シニア人材を採用する場合は、作業姿勢や重量物の取り扱いなど、身体的負担を確認します。
障害のある人の採用については、栃木県が業務の切り出しや求人票作成、職場定着などを支援する事業を実施しています。
出典:栃木県「障害者の雇用促進について~企業の皆様へ」
複数の採用チャネルを組み合わせる
採用チャネルによって、接点を持てる求職者や必要な費用が異なります。一つの求人媒体だけに依存せず、採用したい人材に合わせて組み合わせましょう。
採用チャネル 主な特徴 向いている採用
ハローワーク 無料で利用でき、地域の求職者と接点を持ちやすい 地域採用、幅広い職種
求人サイト 多くの求職者へ情報を届けやすい 若手・中途採用
人材紹介会社 条件に合う人材の紹介を受けられる 専門職、管理職
自社ホームページ 仕事内容や職場の魅力を詳しく伝えられる 自社への関心が高い人材
SNS 写真や動画で職場の日常を伝えられる 若手、潜在的な求職者
社員紹介 職場を理解した従業員から紹介を受けられる 定着を重視した採用
学校との連携 学生や学校との継続的な関係をつくれる 新卒採用
地域の就職イベント 求職者と直接話せる 地元採用、UIJターン
栃木県では、東京圏からの移住・定住と県内中小企業の人材確保を目的として、「とちぎWORKWORK就職促進プロジェクト事業」を実施しています。要件を満たす企業は、移住支援金の対象求人として情報を掲載できる場合があります。
出典:栃木県「とちぎWORKWORK就職促進プロジェクト事業」
UIJターン人材を採用したい企業は、求人情報を掲載するだけでなく、住居、通勤、地域での暮らしなど、移住後の生活に関する情報も伝えることが重要です。
制度の内容や対象要件は変更される可能性があるため、利用前に栃木県の公式ページで最新情報を確認してください。
柔軟な働き方を取り入れる
求職者は複数の企業へ同時に応募していることがあります。応募への返信や面接日程の調整が遅れると、他社へ入社を決めてしまう可能性があります。
応募を受けた後は、次の対応期限を社内で決めておきましょう。
・応募受付の連絡は原則として当日または翌営業日
・面接候補日は複数提示する
・面接回数を必要以上に増やさない
・合否連絡の期限を事前に伝える
・内定時に労働条件と入社後の流れを説明する
経営者や現場責任者だけが採否を判断できる状態では、日程調整に時間がかかります。採用基準、面接で確認する項目、決裁方法をあらかじめ決めておくことが重要です。
採用活動の効果は、応募数だけでなく、次の指標で確認します。
採用段階 確認する指標
求人の認知 求人閲覧数、自社採用ページへの訪問数
応募 応募数、応募率、応募者の属性
選考 面接実施率、選考辞退率
内定 内定数、内定承諾率
採用 採用人数、採用単価、採用までの日数
定着 入社3か月・1年後の定着率
どの段階で候補者が減っているかを確認すれば、求人内容、応募対応、面接、条件提示のどこを改善すべきか判断できます。
人手不足対策として職場環境と定着支援を改善する
人材確保は、入社した時点で終わりではありません。採用した人が仕事を覚え、職場の一員として能力を発揮できるようになるまで支援する必要があります。
厚生労働省は、人材の採用と定着には、評価・処遇、人材育成、業務管理、職場の人間関係、福利厚生、安全管理などを含めた「魅力ある職場づくり」が重要だとしています。
出典:厚生労働省「雇用・労働 人材確保対策」
入社前後の認識差を減らす
早期離職の原因の一つが、入社前に聞いていた内容と実際の仕事との違いです。
面接や内定時には、仕事内容や労働条件だけでなく、次の内容も説明します。
・最初に担当する業務
・教育担当者
・独り立ちまでのおおよその期間
・繁忙期と残業の状況
・仕事で難しい点
・職場のルール
・評価方法
・配属部署の人数と役割
・入社初日の持ち物と予定
可能であれば、応募者に職場を見学してもらい、実際の作業環境や一緒に働く従業員を確認してもらいます。
企業側も、応募者の希望や制約を確認する必要があります。「採用したい」という気持ちを優先して説明を省略すると、入社後のミスマッチにつながります。
入社後90日間の受け入れ計画をつくる
新入社員の教育を現場任せにすると、忙しい日は説明ができなかったり、指導者によって内容が変わったりします。
入社後90日間を目安に、習得してほしい業務と支援内容を決めておきましょう。
時期 主な支援内容
入社初日 会社方針、就業ルール、安全、職場設備、相談先を説明する
入社1週間 基本業務を一緒に行い、疑問や不安を確認する
入社1か月 習得状況、業務量、人間関係について面談する
入社2か月 担当業務を広げ、必要な追加教育を行う
入社3か月 本人と上司が習得状況を確認し、次の目標を決める
「一度説明したから分かっているはず」と考えず、本人が実際にできるかを確認します。面談では、本人の評価だけでなく、「困っていること」「説明が不足していること」「改善してほしいこと」も聞くことが重要です。
教育担当者と相談相手を決める
新入社員が「誰に聞けばよいか分からない」状態を避けるため、教育担当者を明確にします。
教育担当者には、仕事ができる人を選ぶだけでは不十分です。作業の目的や手順を言葉で説明できること、質問しやすい雰囲気をつくれることも必要です。
直属の上司には相談しにくい内容もあるため、可能であれば、教育担当者とは別に相談相手を設けます。従業員数が少ない企業では、他部署の先輩や経営者が定期的に声をかける方法もあります。
教育を担当する従業員にも負担がかかります。教育時間を業務として確保し、担当者任せにしないことが重要です。
業務マニュアルと教育内容を標準化する
教育内容が指導者の経験や記憶に依存していると、新入社員ごとに教える内容が変わります。
マニュアルは分厚い冊子を作る必要はありません。まずは次の内容から整備します。
・作業の目的
・作業の手順
・使用する道具やシステム
・判断に迷いやすい点
・よくある失敗
・安全上の注意
・完了の判断基準
・問題が起きた場合の連絡先
文章だけで伝えにくい作業は、写真、図、短い動画を使うと理解しやすくなります。
ただし、マニュアルを渡すだけでは教育になりません。「説明する」「一緒に行う」「本人に実施してもらう」「結果を確認する」という手順で進めます。
定期面談で不満や離職の兆候を把握する
退職を申し出た段階で初めて不満を聞いても、引き留めることは難しい場合があります。問題が小さいうちに把握するため、短時間でも定期的な面談を実施します。
面談では、次の内容を確認します。
・業務量は適切か
・分からない仕事はないか
・職場で相談できる人がいるか
・入社前の説明と違う点はないか
・身につけたい能力はあるか
・上司や会社に改善してほしいことはあるか
面談は従業員を評価する場ではなく、働くうえでの障害を見つける場として運用します。話を聞くだけで終わらせず、対応すること、対応できないこと、その理由を本人へ伝えることも大切です。
評価基準と賃金の考え方を明確にする
「何をすれば評価されるのか」「どのような能力を身につければ昇給するのか」が分からない職場では、従業員が将来に不安を感じます。
評価制度は複雑にする必要はありません。例えば、次の項目を職種ごとに整理します。
・担当できる業務
・仕事の正確性
・作業速度
・顧客対応
・改善提案
・後輩への指導
・資格取得
・チームへの貢献
評価項目は、経営者や上司の感覚だけで決めず、本人にも事前に示します。定期面談では、できている点、改善が必要な点、次に目指す目標を具体的に伝えましょう。
役割や能力が増えても賃金や処遇が変わらなければ、従業員の納得感は得られません。評価と賃金・役割の関係を可能な範囲で明確にする必要があります。
柔軟な働き方を取り入れる
育児、介護、通院などの事情によって、フルタイム勤務が難しい人もいます。勤務時間や勤務日数を柔軟に設定できれば、採用対象が広がるだけでなく、既存従業員の離職防止にもつながります。
検討できる働き方には、次のようなものがあります。
・短時間勤務
・時差出勤
・勤務日数の選択
・半日単位・時間単位の休暇
・業務に応じたテレワーク
・職務や勤務地を限定した雇用
・複数人による業務分担
制度を導入する際は、利用する従業員だけでなく、周囲の従業員に負担が偏らない仕組みが必要です。対象者、申請方法、業務の引き継ぎ、連絡方法を決め、まずは一部の部署で試験的に運用する方法もあります。
退職理由を記録し、職場改善につなげる
退職者が出た場合は、「本人の都合」で終わらせず、可能な範囲で理由を確認します。
退職理由は、次のように分類して記録します。
・賃金・評価
・労働時間・休日
・仕事内容
・人間関係
・教育・キャリア
・健康・家庭事情
・転居
・他社への転職
・入社前後の認識差
同じ理由による退職が続いている場合は、個人の問題ではなく、職場の仕組みに原因がある可能性があります。
定着施策の効果は、離職率だけでなく、入社3か月後・1年後の定着率、残業時間、有給休暇取得率、面談で出た課題の改善件数なども含めて確認します。
採用と定着を改善する基本的な流れは、次のとおりです。
①必要な業務と人材を明確にする
②採用条件と求人票を見直す
③採用ターゲットと採用チャネルを広げる
④応募者へ迅速かつ正確に情報を伝える
⑤入社後90日間の教育・面談を実施する
⑥定着率や退職理由を確認して改善する
人手不足対策で重要なのは、求人広告を増やすことではありません。求職者から選ばれ、採用した人が安心して働き続けられる会社へ変わることです。
次章では、採用だけでは補いきれない人手不足に対して、業務の廃止・標準化・外注や、IT・AI・省力化設備を活用して生産性を高める方法を解説します。
中小企業の人手不足対策|業務改善と省力化
採用や定着に取り組んでも、必要な人数をすぐに確保できるとは限りません。生産年齢人口が減少する中では、「人を増やす」対策と同時に、「現在より少ない人数でも業務を回せる仕組み」をつくる必要があります。 ただし、人手不足だからといって、すぐに高額な設備やシステムを導入するのは適切ではありません。非効率な業務を残したままデジタル化すると、不要な作業をそのままシステムに置き換えるだけになる可能性があります。 まず業務を見える化し、廃止・簡略化・標準化を行ったうえで、外注やIT・AI・省力化設備の活用を検討することが重要です。
人手不足対策として業務の廃止・標準化・外注を進める
業務改善の目的は、従業員に今まで以上の速さで働いてもらうことではありません。不要な作業や手待ち時間を減らし、限られた人員を売上や顧客満足につながる仕事へ振り向けることです。 改善を始める際は、経営者や管理者の印象だけで判断せず、実際に作業している従業員から話を聞き、業務の流れと作業時間を確認します。
業務と作業時間を見える化する
最初に、部署や担当者ごとの業務を一覧にします。細かく調査しすぎると負担が大きくなるため、まずは1週間から1か月程度を対象に、主な業務とおおよその作業時間を記録します。
確認する項目は次のとおりです。
・業務名
・担当者
・実施する頻度
・1回当たりの作業時間
・1か月当たりの合計時間
・業務の目的
・使用している書類やシステム
・前後の工程
・他の担当者でも対応できるか
・ミスや手戻りの発生状況
業務を整理すると、経営者が把握していなかった作業や、複数の部署で重複している作業が見つかることがあります。
例えば、顧客情報を紙に記録した後、表計算ソフトと販売管理システムへそれぞれ入力している場合、同じ情報を3回扱っています。このような重複作業は、担当者の努力ではなく、業務の流れそのものを見直す必要があります。
業務時間を記録する際は、次のような待ち時間も確認します。
・上司の承認を待つ時間
・材料や商品を探す時間
・機械の準備や段取り替えの時間
・顧客からの回答を待つ時間
・他部署から情報が届くまでの時間
・システムへの入力や読み込みを待つ時間
実際に手を動かしている時間だけでなく、業務が止まっている時間を減らすことも、生産性向上につながります。
ECRSの考え方で業務を見直す
業務改善では、「ECRS(イクルス)」と呼ばれる考え方が役立ちます。ECRSとは、業務を「廃止」「統合」「順序変更」「簡素化」の順に見直す方法です。
視点内容具体例
Eliminate:廃止 その業務をやめられないか 利用されていない日報や定例会議を廃止する
Combine:統合 複数の業務をまとめられないか 重複している報告書や入力作業を一本化する
Rearrange:順序変更 手順や配置を変えられないか 作業順序や承認ルートを見直す
Simplify:簡素化 もっと簡単にできないか 書式を統一し、入力項目を減らす
重要なのは、システム導入より先に「廃止」を検討することです。行う必要のない仕事を自動化しても、費用がかかるだけで十分な効果は得られません。
例えば、毎週1時間の会議に10人が参加している場合、会社全体では毎週10時間を使っています。報告事項を事前共有し、会議を30分に短縮できれば、1回につき5時間を削減できます。
小さな改善でも、年間に換算すると大きな時間になります。
業務の優先順位を決める
すべての業務を同時に改善することはできません。改善対象は、次の3つの視点から優先順位を決めます。
①作業時間が長い
②実施回数が多い
③ミスや手戻りが多い
例えば、1回当たり5分しかかからない作業でも、毎日100回発生していれば、1日500分を使っています。一方、年に1回しか行わない業務は、改善しても年間の削減効果が限られます。
改善対象を選ぶ際は、次のように整理すると判断しやすくなります。
優先度 業務の特徴 対応方針
高い 時間が長く、回数も多い 最優先で改善・自動化する
高い ミスや手戻りが多い 手順や入力方法を見直す
中程度 特定の人しかできない 標準化と多能工化を進める
中程度 繁忙期だけ集中する 外注や短時間人材を検討する
低い 発生頻度が低く、時間も短い 他の業務を優先する
「改善しやすい業務」だけでなく、「改善した場合の効果が大きい業務」を選ぶことが重要です。
業務を標準化して属人化を防ぐ
業務の標準化とは、誰が担当しても一定の手順と品質で仕事を進められる状態をつくることです。
特定の従業員しか対応できない業務が多いと、その人が休んだだけで仕事が止まります。また、新しい従業員を採用しても、教育に長い時間がかかります。
標準化する際は、次の内容を整理します。
・作業の開始条件
・必要な道具や情報
・基本的な作業手順
・判断が必要な箇所
・品質や完了の基準
・よく起きるミス
・問題発生時の連絡先
・作業終了後の記録方法
最初から完璧なマニュアルを作る必要はありません。頻度が高い業務や、ベテラン社員に依存している業務から、写真や動画も使って記録します。
マニュアルを作成した後は、別の従業員に実際の作業を行ってもらいます。説明がなくても作業できるかを確認することで、手順書の不足部分が見えてきます。
多能工化で業務の偏りを減らす
多能工化とは、1人の従業員が複数の業務を担当できるようにすることです。
多能工化を進めると、欠勤や退職が発生した場合でも、他の従業員が業務を補えるようになります。また、繁忙度に応じて人員を配置できるため、特定の部署だけが忙しくなる状態を緩和できます。
まず、従業員ごとに担当可能な業務を一覧にしたスキルマップを作成します。
業務 従業員A 従業員B 従業員C
受注入力 指導できる 1人でできる 未経験
見積書作成 指導できる 補助があればできる 未経験
出荷検品 1人でできる 指導できる 補助があればできる
顧客対応 指導できる 未経験 1人でできる
担当できる人が1人しかいない業務があれば、優先的に教育を行います。
ただし、多能工化を理由に従業員へ無制限に仕事を増やすことは避けなければなりません。新しい業務を習得した場合は、評価や処遇にも反映し、本人が成長を実感できる仕組みにすることが大切です。
作業場所と動線を見直す
製造、物流、飲食、小売などの現場では、作業場所や物の配置を見直すだけでも移動時間を減らせる場合があります。
次のような状況がないか確認します。
・使用頻度の高い道具が離れた場所にある
・材料や商品を探す時間が長い
・人や台車の動線が交差している
・作業のたびに別の部屋へ移動している
・保管場所や表示方法が担当者ごとに異なる
・不要な在庫が作業スペースを圧迫している
改善前後の移動距離や作業時間を測定すると、配置変更の効果を確認できます。
設備を購入しなくても、作業台、棚、道具、書類の置き場所を変えるだけで改善できることがあります。現場の従業員と一緒に動線を確認することが重要です。
社内で行う業務と外注する業務を分ける
社内の人材だけですべての業務を行う必要はありません。専門性が高い業務や、繁忙期に集中する業務は、外部の事業者や専門家へ委託する方法があります。
外注を検討しやすい業務には、次のようなものがあります。
・給与計算や記帳
・デザインやホームページ制作
・システムの保守
・採用広報
・データ入力
・清掃や設備管理
・配送
・専門的な分析やマーケティング
・繁忙期の製造・加工工程
外注の判断では、委託料金だけを比較するのではなく、社内で実施した場合の人件費、教育時間、設備費、管理負担も含めて考えます。
ただし、顧客との関係、品質を左右する技術、自社の競争力につながるノウハウまで外部へ任せると、将来の事業運営に支障が出る可能性があります。
「自社が強みとして残すべき業務」と「外部へ任せられる業務」を分けることが重要です。
人手不足対策でIT・AI・省力化設備を導入する
業務の廃止・簡略化・標準化を行っても人手が不足する場合は、ITツール、AI、ロボット、省力化設備などの導入を検討します。
中小企業庁の2024年版中小企業白書では、省力化投資には人手不足の緩和だけでなく、業務時間の削減、売上増加、従業員が別の業務へ取り組む時間の確保など、複数の効果が期待できるとされています。
出典:中小企業庁「2024年版中小企業白書 第3節 省力化投資」
導入するツールではなく、解決する課題を決める
「AIが話題だから導入する」「補助金が使えるから設備を購入する」という進め方では、十分な効果を得られない可能性があります。
最初に、どの業務の何を改善したいのかを明確にします。
例えば、次のように目的を具体化します。
現在の課題 導入目的 検討できる手段
勤怠集計に時間がかかる 集計と給与計算への転記を減らす クラウド勤怠管理
請求書を手入力している 入力時間と転記ミスを減らす OCR、会計システム
電話予約が集中する 予約受付と変更対応を減らす Web予約システム
在庫数が分からない 在庫確認と発注作業を減らす 在庫管理システム
検品に人手がかかる 検査時間と見落としを減らす 画像認識、検査装置
重量物の運搬が多い 作業者の負担と移動時間を減らす 搬送装置、ロボット
問い合わせが集中する 定型的な回答を自動化する FAQ、チャットボット
日報作成に時間がかかる 入力・集計作業を減らす モバイル日報、音声入力
導入目的を「業務を効率化する」とするだけでは、成果を測定できません。「月40時間かかっている集計作業を10時間に減らす」など、目標を数値で設定しましょう。
定型業務からデジタル化する
初めてITツールを導入する場合は、手順や判断基準が決まっている定型業務から始めると効果を確認しやすくなります。
例えば、次のような業務です。
・勤怠集計
・経費精算
・請求書作成
・予約受付
・受発注入力
・在庫管理
・顧客情報の共有
・定型メールの作成
・会議内容の記録
デジタル化する際は、個別の作業だけでなく、前後の業務とのつながりを確認します。
例えば、受注システムを導入しても、その内容を販売管理システムへ手作業で入力し直すのであれば、十分な効率化にはなりません。受注、在庫、出荷、請求までデータを連携できるかを確認する必要があります。
AIが適している業務を見極める
AIは、文章作成、要約、情報整理、画像認識、需要予測などで活用できます。一方で、すべての業務を正確に自動化できるわけではありません。
中小企業で取り組みやすい例としては、次のようなものがあります。
・会議録の文字起こしと要約
・メールや文書の下書き
・商品説明文の作成補助
・社内資料の検索
・問い合わせ内容の分類
・売上データの分析補助
・製品画像の検査
・需要予測や発注量の検討
生成AIが作成した文章や回答には、誤りが含まれる可能性があります。顧客へ送る文書、契約、会計、労務、法令に関係する内容は、必ず担当者が確認する仕組みが必要です。
また、顧客情報、個人情報、製品図面、取引条件などを、会社の許可なく外部のAIサービスへ入力しないよう、利用ルールを定めます。
AI導入の目的は、人の判断をすべて置き換えることではありません。情報収集や下書きなどをAIに任せ、人は確認、判断、顧客対応などの付加価値が高い業務へ集中することが基本です。
省力化設備は現場のボトルネックに導入する
製造、建設、物流、農業、宿泊・飲食などでは、設備導入によって作業時間や身体的負担を減らせる可能性があります。
設備を選ぶ前に、工程全体の中で作業が滞っている「ボトルネック」を確認します。
例えば、製造工程で加工時間を短縮しても、検査工程の処理能力が変わらなければ、製品は検査前に滞留します。設備単体の性能ではなく、工程全体の処理能力がどの程度高まるかを確認する必要があります。
導入前には次の点を確認します。
・現在の作業時間と必要人数
・設備導入後に削減できる時間
・前後工程への影響
・設置スペース
・電源や通信環境
・操作する従業員の教育
・保守・修理体制
・消耗品や更新費用
・繁忙期以外の稼働率
・法令や安全面への対応
カタログ上の処理能力だけで判断せず、可能であれば実機確認、デモンストレーション、試験導入を行いましょう。
小さく試してから対象範囲を広げる
システムや設備を全社へ一度に導入すると、操作方法や業務ルールが定まらず、現場が混乱することがあります。
まず、一つの部署、一つの工程、少人数の利用者から試験運用します。
試験導入では次の内容を確認します。
・想定した作業時間を削減できたか
・入力や操作が現場に合っているか
・ミスや手戻りが増えていないか
・前後の業務に新たな負担が生じていないか
・従業員からどのような意見が出たか
問題点を修正したうえで、他の部署や工程へ展開します。
従業員へ十分な説明をせずに導入すると、「仕事を奪われるのではないか」「今までの方法を否定された」と受け止められる場合があります。導入目的は人員削減だけではなく、負担軽減、残業削減、安全性向上、付加価値の高い仕事への移行であることを説明しましょう。
投資効果を金額と時間で確認する
ITツールや設備を導入する際は、導入費用だけでなく、運用費用と削減効果を比較します。
基本的な考え方は次のとおりです。
◆年間削減時間=導入前の年間作業時間-導入後の年間作業時間
◆年間人件費削減効果=年間削減時間×対象業務の時間当たり人件費
◆投資回収期間=初期投資額÷年間の削減・増益効果
例えば、300万円の設備導入により、年間150万円相当の人件費や外注費を削減できる場合、単純計算による投資回収期間は2年です。
ただし、投資効果は人件費の削減だけではありません。
・生産量の増加
・受注可能件数の増加
・営業時間の拡大
・納期の短縮
・不良・廃棄の削減
・残業代の削減
・身体的負担の軽減
・労働災害リスクの低減
・技能承継の容易化
・従業員の定着
数値化しにくい効果も含めて、投資の必要性を判断します。
また、設備導入によって空いた時間を何に使うかも決めておく必要があります。削減できた時間を新規顧客への提案、商品開発、従業員教育などへ振り向けることで、売上や付加価値の向上につながります。
導入後の効果を継続的に確認する
システムや設備は、導入しただけでは成果になりません。導入前に設定した目標と実績を比較します。
確認する指標には、次のようなものがあります。
改善目的 主な確認指標
作業時間の削減 1件当たり作業時間、月間総作業時間
省人化 工程ごとの必要人数、人時
生産性向上 従業員1人当たり生産量・売上高
品質向上 不良率、手戻り件数、クレーム件数
負担軽減 残業時間、休日出勤、身体負担
売上拡大 受注件数、受注辞退額、稼働率
投資回収 削減額、増益額、回収期間
想定した効果が出ていない場合は、設備やシステムの性能だけを疑うのではなく、利用方法、業務手順、従業員教育、前後工程を確認します。
使われていない機能や二重入力が残っている場合は、運用方法を見直します。
補助金は導入目的を決めてから検討する
IT・AI・省力化設備の導入では、国の補助制度を利用できる場合があります。
代表的な制度として、「中小企業省力化投資補助金」があります。同補助金には、登録された汎用的な省力化製品を選択する「カタログ注文型」と、個別の現場に合わせた設備導入やシステム構築を支援する「一般型」があります。
出典:中小企業省力化投資補助金 公式サイト
また、会計、受発注、決済、顧客管理、セキュリティなどのITツールについては、「デジタル化・AI導入補助金2026」の対象となる可能性があります。
出典:デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト
補助金は投資負担を軽減する有効な手段ですが、「補助対象になる設備から選ぶ」という順序は避けるべきです。
先に自社の課題、削減したい業務時間、必要な機能、投資効果を明確にし、その後で利用できる制度を確認します。
また、一般的に補助金は、交付決定前に契約・発注・支払いをすると補助対象外になる場合があります。補助率、補助上限額、対象経費、申請期限、賃上げなどの要件も制度や公募回によって異なります。申請前に必ず最新の公募要領を確認してください。
業務改善と省力化を進める基本的な流れは、次のとおりです。
①業務と作業時間を見える化する
②不要な業務を廃止する
③重複する業務を統合・簡略化する
④業務を標準化し、多能工化を進める
⑤外注できる業務を切り分ける
⑥IT・AI・省力化設備を選定する
⑦小さく試してから本格導入する
⑧削減時間、品質、売上への効果を確認する
人手不足対策として最も避けたいのは、現在の業務を見直さずに「人を採用する」「設備を購入する」という手段から入ることです。
まず仕事そのものを見直し、それでも残る課題に対して人材や設備を投入することで、限られた経営資源を有効に活用できます。
次章では、これまで説明した採用、定着、業務改善、省力化を、自社の状況に合わせてどのような順番で進めるべきかを整理します。あわせて、栃木県内の中小企業が利用できる相談窓口や支援制度を紹介します。
栃木県の中小企業が実践する手順と支援策
人手不足対策には、採用、定着、業務改善、省力化投資など、さまざまな方法があります。しかし、すべての施策を同時に進めると、経営者や現場の負担が増え、どの取り組みに効果があったのか分からなくなります。 重要なのは、自社の人手不足がどこで起きているかを確認し、経営への影響が大きい課題から順番に取り組むことです。 自社だけで原因や対策を判断することが難しい場合は、栃木県内の公的支援機関や専門家を活用できます。相談する際も、現在の人数、残業時間、離職率、困っている業務などを整理しておくと、具体的な助言を受けやすくなります。
人手不足対策を現状分析から効果検証まで進める
人手不足対策は、「求人を出す」「システムを導入する」といった個別の手段から始めるのではなく、次の7つの段階に沿って進めます。
人手不足による経営上の問題を明確にする
最初に、「人が足りない」という状態が経営にどのような影響を与えているのかを確認します。
例えば、次のような問題です。
・受注を断っている
・納期が遅れている
・営業時間を短縮している
・残業や休日出勤が増えている
・製品やサービスの品質が低下している
・ベテラン社員の退職後に業務を引き継げない
・新商品や新規事業に取り組む時間がない
・採用と早期離職を繰り返している
人手不足対策の目的は、単に従業員数を増やすことではありません。売上機会の損失を減らす、納期を守る、従業員の負担を軽減するなど、解決したい経営課題を具体的にする必要があります。
例えば、「製造部門の人手不足を解消する」という目標では、達成したかどうか判断できません。
次のように数値を含めて設定します。
「製造工程の月間残業時間を、6か月以内に120時間から80時間へ削減する。」
「人員不足による受注辞退額を、1年以内に年間1,000万円から300万円以下へ減らす。」
「入社1年以内の離職率を、2年間で30%から15%以下へ改善する。」
目的と目標が明確になれば、取り組むべき施策を選びやすくなります。
現状を数値と従業員の声から把握する
次に、現在の採用状況、定着状況、業務量を確認します。
人手不足の把握に必要な主な情報は次のとおりです。
分野 確認する情報
採用 応募数、面接数、採用人数、内定承諾率、採用単価
定着 入社3か月・1年後の定着率、退職理由
労働時間 部署別・従業員別の残業時間、休日出勤
業務 業務一覧、作業時間、発生回数、担当者
生産性 従業員1人当たりの売上高・生産量
品質 不良率、手戻り、クレーム、納期遅延
機会損失 受注辞退件数・金額、営業時間の短縮
技能 有資格者数、担当可能業務、代替要員
数値だけでは、現場で何が起きているかを十分に把握できません。従業員へのヒアリングも行いましょう。
ヒアリングでは、次の質問が役立ちます。
・時間がかかっている仕事は何か
・なくしても困らない仕事はあるか
・二重に入力・確認している仕事はあるか
・特定の人にしかできない仕事は何か
・ミスや手戻りが起きやすい仕事は何か
・身体的な負担が大きい仕事は何か
・新しい従業員が覚えにくい仕事は何か
・人が増えたら任せたい仕事は何か
経営者が必要だと考えている対策と、現場が必要だと感じている対策が異なることもあります。数値と従業員の声を組み合わせて、原因を整理することが重要です。
症状に応じて優先する対策を決める
人手不足の原因によって、優先すべき対策は異なります。
主な症状 優先する対策
求人を見られていない 採用チャネル、自社採用ページ、情報発信の見直し
求人は見られているが応募がない 求人内容、賃金、休日、応募条件の見直し
応募はあるが採用できない 採用基準、選考速度、面接方法の見直し
採用後すぐに退職する 入社前説明、教育、面談、職場環境の改善
特定の従業員だけ忙しい 業務分担、配置、標準化、多能工化
全社的に残業が多い 不要業務の廃止、工程改善、IT・設備導入
繁忙期だけ人手が足りない 短時間人材、外注、業務平準化
専門人材がいない 育成、経験者採用、副業・兼業人材の活用
ベテラン退職後が不安 技能の見える化、マニュアル、後継者育成
受注を断っている ボトルネック改善、省力化投資、外注
一つの企業に複数の症状がある場合は、「経営への影響」と「改善の緊急性」で優先順位を決めます。
例えば、応募数が少ない一方で、既存従業員の離職も続いている場合、求人広告を増やす前に職場環境と定着支援を改善すべきです。離職の原因を残したまま採用を増やしても、同じ問題を繰り返す可能性があります。
実行計画を作成する
対策が決まったら、「誰が、何を、いつまでに行うか」を明確にします。
実行計画には、少なくとも次の項目を記載します。
・改善する課題
・実施する施策
・担当者
・実施期限
・必要な費用
・協力する部署・外部機関
・目標とする数値
・効果を確認する日
例えば、次のように整理します。
課題 実施内容 担当者 期限 確認指標
求人への応募がない 求人票の仕事内容と写真を見直す 採用担当者 1か月後 閲覧数、応募数
新入社員が定着しない 入社後90日間の教育計画を作る 現場責任者 次回採用まで 3か月定着率
見積書作成が遅い 書式と価格表を統一する 営業責任者 2か月後 作成時間
検品に時間がかかる 検査工程と設備導入を検討する 工場長 3か月後 検査時間、不良率
計画を作成するだけでなく、担当者が実行できる時間を確保することも必要です。通常業務に改善活動を追加するだけでは、忙しさを理由に後回しになってしまいます。
最初の90日間は小さな改善から始める
人手不足対策には時間がかかるものもありますが、最初から大規模な取り組みを行う必要はありません。
最初の90日間は、費用をあまりかけずに実施できる改善から始めます。
1~30日目:現状を把握する
・部署ごとの残業時間を確認する
・主な業務と作業時間を一覧にする
・従業員へヒアリングする
・過去の応募数と退職理由を整理する
・同じ地域・職種の求人条件を確認する
・改善対象を1~3件に絞る
31~60日目:小さく改善する
・求人票の仕事内容を書き直す
・不要な会議や報告書を一つ廃止する
・頻度の高い業務の手順書を作る
・道具や書類の配置を見直す
・新入社員との面談方法を決める
・一部の業務でITツールを試す
61~90日目:効果を確認する
・作業時間がどの程度減ったか確認する
・従業員から改善後の意見を聞く
・応募数や採用状況を比較する
・新たな負担や問題が生じていないか確認する
・継続・修正・中止を判断する
・次の90日間で取り組む課題を決める
小さな改善で成果を出すと、従業員が変化の効果を実感しやすくなり、その後の大きな改善にも協力を得やすくなります。
KPIを絞って定期的に確認する
KPIとは、目標へ向けた進み具合を確認するための指標です。
多くの指標を設定すると、集計自体が新たな負担になります。人手不足の原因に合わせて、3~5項目程度に絞りましょう。
対策分野KPIの例
採用 応募数、応募率、採用単価、採用までの日数
定着 3か月・1年定着率、離職率、面談実施率
業務改善 月間削減時間、残業時間、手戻り件数
省力化 必要人数、人時、生産量、不良率
経営成果 受注辞退額、売上高、粗利益、納期遅延件数
例えば、求人票を改善した場合は応募数だけでなく、応募者が自社の求める人材に合っているかも確認します。応募数が増えても、採用や定着につながらなければ、改善方法を見直す必要があります。
また、業務時間を削減できても、その時間が新たな残業や別の不要業務に使われていては、生産性向上にはつながりません。削減した時間を営業、教育、改善活動など、どの業務へ振り向けるかを決めておきます。
月次で検証し、継続・修正・中止を判断する
人手不足対策は、一度実施して終わりではありません。少なくとも月に1回は、経営者、担当者、現場責任者が進捗を確認します。
確認する内容は次のとおりです。
①計画した取り組みを実施できたか
②KPIはどのように変化したか
③現場の負担は減ったか
④新しい問題は発生していないか
⑤継続、修正、中止のどれを選ぶか
⑥次に取り組む課題は何か
成果が出なかった場合は、担当者の努力不足と決めつけず、原因を確認します。目標が高すぎた、必要な時間を確保できなかった、導入した仕組みが現場に合っていなかったなど、計画側に問題がある可能性もあります。
改善を繰り返しながら、自社に合った採用・定着・省力化の方法を定着させることが重要です。
人手不足対策で活用できる栃木県の相談窓口・支援制度
人手不足の原因は、企業によって異なります。求人票の改善が必要な企業もあれば、職場環境、業務工程、設備投資を見直すべき企業もあります。 自社だけで判断することが難しい場合は、相談内容に応じて支援機関を選びましょう。
栃木県よろず支援拠点・生産性向上支援センター
栃木県よろず支援拠点は、中小企業・小規模事業者の経営課題に対応する公的な相談窓口です。売上拡大、経営改善、人材、雇用・労務など、幅広い相談に対応しています。
2026年4月には、栃木県よろず支援拠点内に「生産性向上支援センター」が開設されました。人手不足に悩む中小企業等を対象に、専門家が現場を訪問し、複数回にわたって無料で伴走支援を行います。
主な支援内容には、次のようなものがあります。
・業務の見える化
・ムリ・ムラ・ムダの削減
・作業手順の標準化
・現場動線の改善
・デジタルツールの活用
・省力化投資の検討
・生産性向上計画の作成
「忙しくて改善に着手できない」「どの業務から見直せばよいか分からない」といった企業に適した相談先です。
出典:栃木県よろず支援拠点「生産性向上支援センター」
栃木労働局・ハローワーク
ハローワークでは、求人の受け付けだけでなく、人材確保に関する事業主からの相談にも無料で対応しています。
求人票を出しても応募がない場合は、単に再掲載するのではなく、次の内容を相談できます。
・求職者のニーズや動向
・求人票の仕事内容の書き方
・労働条件の見直し
・会社説明会や面接会
・職場見学
・オンラインでの求人手続き
医療、介護、保育、建設、警備、運輸など、人手不足が特に深刻な分野については、ハローワーク宇都宮に「人材マッチングコーナー」が設置されています。対象分野の企業は、専門相談員による求人充足支援を受けられます。
出典:栃木労働局「医療・介護・保育・建設・警備・運輸分野の人材確保」
求人票を掲載して終わりにせず、応募状況を見ながら、仕事内容や条件の改善について相談することが大切です。
WORKWORKとちぎ
栃木県では、東京圏からの移住・定住と県内中小企業等の人材確保を目的として、「とちぎWORKWORK就職促進プロジェクト事業」を実施しています。
要件を満たす県内企業は、企業情報掲載サイト「WORKWORKとちぎ」に企業情報や求人情報を掲載し、東京圏の求職者へ自社をPRできます。
移住支援金の対象法人・求人として登録する場合は、事前にハローワークへ求人を提出するなど、所定の手続きが必要です。
UIJターン人材を採用したい企業は、仕事内容だけでなく、次のような情報も発信しましょう。
・勤務地と通勤方法
・周辺の住環境
・転勤の有無
・移住後の働き方
・地域での暮らし
・住宅や移住に関する支援
・オンライン面接の可否
出典:栃木県「とちぎWORKWORK就職促進プロジェクト事業」
制度や対象要件は変更されることがあるため、登録前に公式ページで最新情報を確認してください。
栃木県プロフェッショナル人材戦略拠点
専門的な能力を持つ人材や、経営課題の解決を担う人材を必要としている場合は、栃木県プロフェッショナル人材戦略拠点へ相談できます。
例えば、次のような課題がある企業に適しています。
・新規事業を立ち上げたい
・営業やマーケティングを強化したい
・生産管理を改善したい
・DXを推進できる人材がいない
・管理職や後継幹部を確保したい
・副業・兼業人材を活用したい
専門人材の採用では、最初から職種名を決めるのではなく、解決したい経営課題と、その人材に任せたい役割を明確にすることが重要です。
出典:栃木県産業振興センター「栃木県プロフェッショナル人材戦略拠点」
栃木県産業振興センター
公益財団法人栃木県産業振興センターでは、県内中小企業を対象として、経営、技術、販路、設備投資、人材などに関する支援を行っています。
設備導入や新技術の活用を検討している場合は、利用できる助成事業、専門家派遣、技術支援などがないか確認しましょう。
公募型の助成事業は、対象経費、募集期間、補助率などが年度ごとに変更されます。「設備を購入してから申請できる」とは限らないため、契約や発注を行う前に相談することが重要です。
出典:公益財団法人栃木県産業振興センター
中小企業省力化投資補助金
人手不足の解消に向けてロボット、IoT、設備、システムなどを導入する場合は、「中小企業省力化投資補助金」を活用できる可能性があります。
同補助金には、主に次の2つの類型があります。
類型 主な特徴
カタログ注文型 登録された汎用的な省力化製品をカタログから選んで導入する
一般型 個別の現場や事業内容に合わせた設備導入・システム構築を行う
カタログ注文型は、あらかじめ登録された製品から選択するため、比較的取り組みやすい類型です。一方、一般型は、複数の設備やシステムを組み合わせるなど、企業ごとの課題に応じた省力化投資を検討できます。
出典:中小企業省力化投資補助金 公式サイト
補助金を利用する場合でも、先に次の内容を整理する必要があります。
・どの業務で人手が不足しているか
・現在何人・何時間で作業しているか
・導入後にどの程度削減できるか
・空いた人員や時間を何に活用するか
・売上や付加価値をどのように高めるか
・導入後にどの指標で効果を確認するか
補助金の採択や交付を受けることが目的ではありません。設備導入後に、生産性向上や賃上げへつなげることが重要です。
デジタル化・AI導入補助金
会計、受発注、販売管理、在庫管理、顧客管理、決済、セキュリティなどのITツールを導入する場合は、「デジタル化・AI導入補助金」の対象となる可能性があります。
出典:デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト
対象となるITツールや申請方法は制度上定められています。市販されているすべてのソフトやAIサービスが補助対象になるわけではありません。
また、補助制度は年度や公募回によって変更されます。導入するツールを決める前に、現在の業務、必要な機能、削減できる時間、運用体制を整理し、公式サイトや登録されたIT導入支援事業者へ確認しましょう。
商工会・商工会議所などの地域支援機関
地域の商工会や商工会議所でも、経営相談、専門家派遣、補助金、労務、人材育成などに関する支援を受けられる場合があります。
日頃から相談しておくと、自社が利用できる支援制度やセミナーの情報を得やすくなります。
公的支援機関へ相談する際は、次の資料を準備しておくと、相談が具体的になります。
・会社概要
・組織図と従業員数
・困っている業務の内容
・部署別の残業時間
・採用人数、応募数、離職者数
・現在の業務フロー
・導入を検討している設備やシステム
・直近の決算書
・今後の事業方針
すべての資料がそろっていなくても相談は可能です。まずは現在困っていることを伝え、必要な情報を確認しながら整理しましょう。
まとめ|人手不足対策は採用・定着・省力化を組み合わせる
栃木県の中小企業が人手不足を乗り越えるには、採用人数を増やすだけでは不十分です。
まず、自社の人手不足が「人数」「能力」「配置」「業務方法」のどこから生じているかを確認します。そのうえで、求人内容や採用条件の見直し、入社後の教育・定着支援、不要業務の廃止、業務の標準化、IT・AI・省力化設備の導入を組み合わせることが重要です。
人手不足対策は、次の順番で進めます。
①人手不足が経営に与えている影響を把握する
②数値と従業員の声から原因を特定する
③経営への影響が大きい課題を選ぶ
④誰が・何を・いつまでに行うかを決める
⑤小さく試して効果を確認する
⑥成果が出た取り組みを他の部署へ広げる
⑦必要に応じて公的支援機関や専門家を活用する
人手不足をすぐに解消できる万能な方法はありません。しかし、現在の業務や職場環境を一つずつ見直すことで、少ない人数でも成果を上げられる体制に近づけます。
Komaki Business Partnersでは、栃木県の中小企業・小規模事業者を対象に、人手不足の原因整理、業務の見える化、生産性向上、事業計画策定、省力化投資の検討などを支援しています。
「採用を続けても応募がない」「従業員の負担を減らしたい」「どの業務から改善すべきか分からない」とお悩みの場合は、自社だけで抱え込まず、早めにご相談ください。
